『ハンガリー演奏旅行&プラハ、ウィーンの旅』(最終回)(ウィーンから日本へ)
・旅行第十二日目(2006年1月12日):ウィーンを発つ
ついに旅行の最終日となった。
楽しかった。帰りたくはないが仕事も待っているし、、、
ウィーン発成田行きは週6便飛んでいる。水曜だけないので我々は「仕方なく」ウィーンに一泊せざるを得なかったのだ。
私が記憶する限りはYS氏の人生が変わるような事も無く夜が明け(ただ酔っぱらって寝ただけ)た。
13:15ウィーン発成田行きに間に合うように、10:30にホテルを出よう、それまではお互い自由行動で10:15ホテル集合という事にした。まず朝食。そしてタクシーを予約。これがまたプラハと同じで、ホテルのフロントに頼むと空港まで38ユーロだという。
「なんでそんなに高いのだ?」と問うと「うちで準備するメルセデスの新車で綺麗な車だ」と言う。
「メルセデスは私が日本で乗っている車だから別にどうでもいい。普通のタクシーでいいのだ。」というと
「じゃあ、自分でタクシー会社にかけて呼んでくれ。」と冷たい対応。
そこで昨日の前払いで空港から来たタクシー会社の領収書を見てそこに電話をして料金を聞くと、なんと前日利用してもらったので10%割引で28ユーロでいい、とのこと。ホテルで頼む場合と10ユーロ(=1400円)も違う。車はミニバンタイプで広々していたし別に何の問題も無く空港に付いた。1400円分お土産奮発出来る!
ヨーロッパの他都市でもあるかも知れないが、ホテルで頼むと手数料を上乗せしてあるから高くなるのだろう。自分で手配出来る人はその方がお得である。
さて、朝食後チェックアウトするまでに1時間ある。私は昨日見る事が出来なかった「ウィーン楽友協会」そうMusikverein Wienやその周辺の建物を見に出た。ホテルからは徒歩圏内であるが、わざわざオペラ座前からトラムに乗ってKonzerthausすなわちウィーン交響楽団の本拠地傍で降りた。ウィーンフィルとは別の組織の専用コンサートホールである。建物を外から見るだけであるが、そこを歩いてMusikvereinまで来た。
昨日の夜も、今日の夜もコンサートがある。出来れば演奏を聴きたかった、観たかった。この次の機会の楽しみとしよう。Musikvereinの北側の小さな通りの名前は「ベーゼンドルファー通り」と書いてあった。そう、ベーゼンドルファーの本社はここウィーンだった。ソルノークでのショパンのピアノ協奏曲で藤井亜紀さんが弾いたピアノもベーゼンドルファーだった。
そんな事を考えながら、ゆっくりオペラ座の方に向かって歩いて来ると、歩道に☆の印。ウィーンの何か名所旧跡の印である。顔を上げるとそこは「Herbert von Karajan Zentreum」と書かれたお店のようなものがあった。
まだ時間があったので覗いてみる事にした。ドアが開かない。よく見ると10:00オープンだが、まだ9:55だった。お店のおじさんが出て来て開けてくれた。
Guten Morgen !
中は、本当にカラヤン一色だった。CDやDVDはもちろん、アイドルのブロマイドよろしく絵はがきサイズの写真(多くはディスクの表紙などに使われている)がたくさんおいてあった。音楽性や人間性云々を抜きにして(個人的な交流はないのだから、うわさというか風評でしか知らない訳であるが)、とにかく指揮者として偉大でカッコいいと思う。フルトベングラーの後はやっぱりカラヤンか(もちろんベームだって好きだし、ちょっと前はクライバー、現存の指揮者ではユッカ・ベッカ・サラステが好きです)!
写真を何点か購入した。絵になる人である。顔の作りもいいけど、顔の表情に加え手の表情、そして全身から出て来るオーラ。とにかく「かっこいい」。
オペラハウスのMusic shopで最後のお土産を買うつもりだったのであまり時間に余裕は無く、それで帰ろうとしたら、なんと成田を発つ時に出国ゲートを抜けたDuty Freeのところで見つけたMontBlancの「カラヤン記念万年筆」を見つけてしまった。値段は安くない。万年筆を使う頻度は最近は少ないので是非欲しいものでもない。加えて私は、モンブラン万年筆を持っている人が日本人の特に医者に多いので、いいものだとしても積極的に持ちたくないと考えてしまう天の邪鬼で、現在持っているのは色が大好きな「ペリカン」のグリーンの万年筆である。
しかし、予期せぬところで見つけたカラヤン専門店。成田出国時にちょっとだけ心が動いた万年筆。値段のうち、20ユーロがクラシック音楽関係の文化財団に寄付されるDonation Penだということも私の心を動かした。今回、素晴らしい演奏、旅行、友人、食事、お酒を楽しんで来たが、すべてクラシック音楽が縁である。これはドネーションしないわけにいかないっしょ!と購入した。(帰国してもまだ飾ってあって、インクすら入れていないが)。
カラヤン万年筆のデザインは、ちょっと今一かな?サー・ゲオルグ・ショルティ(ハンガリー生まれ)の記念万年筆の方がデザインは素敵だと思った。でも、モーツァルト・イヤーにモーツァルトと同じオーストリアはザルツブルグ生まれのカラヤンの、現役時代活躍したウィーンのオペラハウスとムジークフェラインの中間地点に立つそのお店で買った、ということに意義を見いだす事にした。
足早にオペラハウスのMusic shopに行き、お土産を何点か買い求めた。ホテルに戻ると10:20だった。チェックアウトするとちょうど予約していたタクシーが来て空港へ向かった。
トラブル無く空港に着き、チェックインをしようとしたが、実はプラハーウィーンとオーストリア航空で飛んで来た際に、私のラッゲージが壊れていた。今回の旅行のために昨年12月に新調してばかりでおろしたての、しかもプ○テ○の新製品で定価は7万円台と安くなかった。古いサ○ソナ○トを持っているが、容量が不足しそうな上、そのケースそのものが重いので、今回新しくアルファロメオデザインとか店員が宣伝した「軽くて丈夫で安全」と薦められたラッゲージを買ったのだった。
それがウィーンに到着して、機内預け荷物をベルトコンベアーから取って立てた瞬間倒れたので気がついたのだが、底の4つの車輪のうち、1個が大きく根元から歪んでいた。わりと柔軟な材質で出来ていたので手でググッと引っ張ると車輪は元に戻った。しかし底におおきな凹みがありフレームが強く歪んでいた。
ウィーンのホテルで開けて荷物を出し、蓋を閉めようとしたがフレームが歪んでしまったためにしまらない。男二人掛かりで歪んだフレームを強制するようにしても2つあるロックのうち一つしかしまらない。仕方なく、底が凹んだ部分を内側からウィーンのビールの瓶でたたき出して強制的に蓋が閉まるようにしたが隙間が空いた状態になっていたのだ。おそらくプラハーウィーン間で荷物を運搬する際に投げられるか落とされるかしてどこか硬いものの角(たとえば運搬する車両の鉄製の荷台の角とか)にぶつかってできた凹みだと思う。(この3枚の写真はウィーンの空港からまっすぐホテルに着いて部屋で荷物を開ける前に撮影。大きな凹み、隙間が出来て中身が見えている程の歪み、そしてまだロック解除前なので鍵のところが赤い丸でロックされた状態である事が分かる、ロックがかかっていたから開かずに済んだのか、、、)
ウィーンは日本人の団体旅行客が多いせいか、成田便のカウンターには日本人の係員がいた。そこでラッゲージ損傷の事を話すと、オーストリア航空のバッゲージのClaim counterで書類を作って日本に持ち帰って欲しいと言われた。まだ時間に余裕があったのでその通りにした。
免税店で最後のお土産を買った。YS氏と長い旅を楽しく無事に過ごせた事を祝うべく、機内で食べようと思ってベルーガのキャビアも買った。
オーストリア時間、2006年1月12日(木)13:15、飛行機は成田空港へ向けて飛び立った。
楽しかった事ばかり思い出されて、仕事に復帰するのに「心のリハビリ」がいるかも、なんて冗談で思ってはいた。11時間余りのフライトの後、日本時間同年1月13日(金)8:35に成田空港へタッチダウン。早めに着いたし、入国審査も税関もスムーズに通り、予定してあった新幹線まで1時間の余裕があった。
その間を利用して、1月13日の記事『帰国しました!』を書いた訳である。
日本に電話すると「雪を楽しみに帰ってこいよ!」と脅かされていた。なので福島から米沢に抜ける板谷峠の雪を見ても、写真のような米沢市内に入る前の集落の雪を見ても大して驚きはしなかった。
地元の駅に着いたら、ホームに貼られていた写真の宣伝が目にとまった。
まず何が食べたいって、ラーメン、蕎麦、寿司かな〜。日本人だな。。。着いた日を含む3日間(金土日)でこれは全部食べました。
これで、長かった旅、10泊12日の中央ヨーロッパの旅は終わりである。
今度は、3月にソルノークフィルから約30名の団員+スタッフが来日する。そのお世話と合同演奏がまた楽しみである。
9月にはアフラートゥス木管五重奏団が来る。東京などの大都市でコンサートする事は決まっているが果たして庄内で出来るか。帰国後、ロマンからもメールが来て音楽事務所の担当者に話しをしてみてくれ、我々も庄内にまた行ける事を希望している、ということだった。
まだまだ全部を語りきった訳ではないが、ひとまず思い出深い「音楽の旅日記」をこれで終わる。
(ご愛読感謝!)
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コメント
全部拝読させていただきました。楽しかったです。チェコ行きたい。。。私、南方の未開発地域志向だったのですが、最近はヨーロッパ方面に行ってみたくなっています。そのうち行くぞ!
投稿: @むーむー | 2006.01.24 16:46
@むーむーさん、コメントありがとうございます。
読む方も疲れますよね、こんだけ書いてあると。お疲れさまです。
プラハは、ロマンによると、6月がベストだそうですよ。僕も6月に行って見たいな〜、と思っていますが。。。
投稿: balaine | 2006.01.24 18:09
とても素晴らしい旅行記を読ませていただきました。ありがとうございます。
素晴らしい記憶力にも感服いたしました。
沢山の思い出を作ることができて良かったですね。
しかも再び行きそうな気配も感じるし。
羨ましい限りです。
本番演奏も是非聞かせてくださいませ。
投稿: ♪ふえ♪ | 2006.01.24 21:45
♪ふえ♪さん、コメントありがとうございます。
わたしのような「ヨーロッパおのぼりさん」にとっては見るもの聞くものすべてが新鮮な感動続きで、しかも友情と音楽という香辛料が加わってより鮮明な思い出になりました。
記憶のメカニズムから考えても、凄く嬉しい、凄く悲しいといった強いemotionを伴うものは鮮烈な記憶として定着しやすく薄れにくく、想起しやすいのです。
試験の為に暗記を試みる人達も暗記法としては、そういった「感情」を伴った勉強の方が良い対策になると思います。時節柄の話題でした。(^^
ファイト!
本番演奏の公開はNGです。私の演奏が恥ずかしい事もありますが、共演者はプロオケに指揮者もピアニストもプロですから許諾無くネット上に公開は出来ません。ごめんなさい。
CDに加えて3月のソルノークフィル来日までにはDVDの出来上がるそうですが、、、「恐いもの見たさ」のような心境です。
投稿: balaine | 2006.01.25 12:07
トランクの損傷は多いですね。飛行機で 窓から見ていても、ボンボン投げていますからね。壊れても仕方がない。
最初に高いものを買って、いつの間にかに壊れていたのですが、どうもまっすぐ転がらないな、と思いつつも、気づかなかったことがあります。そのトランクは今もそのままで、使用していません。
その後は、安物の利用で過ごしていて、それが壊れた時に、空港で申請したら、なにがしかの弁償金(また安物の中古なら買えるくらいか)というのをいただいたことがあります。
高価な物なら修理費でしょうけど。
投稿: suyasuya | 2006.01.25 20:37
suyasuyaさん、私の古いサ○ソ○イトは、都合14,5年、海外出張は合計10往復位は使っていますが全く頑丈でした。ところが今回新調したプ○テ○は軽くて丈夫と歌っていながら直ぐ壊れたのです。
オーストリア航空の方で修理をするが全額航空会社持ちにならないかも知れない、ということだったので、購入したお店に電話して発売元のエー○に報告してくれ、と頼んだら、エー○の方で全面的にちゃんと修理するので持って来て欲しいといわれたので、航空会社を通しての修理は遠慮しました。結局同じところに持って行かれると思うんだよね。
ま、結果が出たらここで報告させて頂きます。
投稿: balaine | 2006.01.26 00:46
(1週間以上前の記事へのコメントなんて誰か見るのかな?)
ラッゲージを購入したデパートから連絡が来て、全額エー○負担で修理が済んだそうです。オーストリア航空へ頼む必要が無くなりました。v(^^
投稿: balaine | 2006.02.02 16:57