音ブログのこと
音ブログのサイト「ケロログ」を運営しているVOICE-blogという会社からも、私の音ブログの演奏に関して、著作権侵害のおそれのあるファイル削除の依頼(指導?)が来た。メールの文面からは、JASRACからVOICE-blogにいろいろ指示、指導があったようである。JASRACが一体どれほど公的な団体なのかは知らないが、確かに「知的所有権」や「著作権」というのは大切で守られるべきものである。これは当然の事と認める。
しかし、「権利侵害の恐れ」の名の下に、個人の愉しみとか自由を奪うような高圧的な動きになって来ていないであろうか?少し心配だ。
スクリーンミュージックなどは、やはり著作権の侵害に当たるので、とても素敵な楽曲を結構素敵に演奏できた、と思っていたが、泣く泣くファイルを削除した。一度削除すると、再度アップしても既に楽曲に対する説明文を書いたり、それに対して聴いた(読んだ)方からの感想や励ましなどのコメントのところに戻せない。「新たな」ファイルアップになってしまう。
かなりの数のファイルを削除した。ところが、「ホルスト作曲『惑星』からジュピター」と「Amazing Grace」も「権利の侵害」に当たるので削除しなさい、という通達が来た。腑に落ちないので調べてみた。結果は、JASRAC側の判断の誤りで「権利の侵害」には当たらないということが判明した。こういうことである。
ホルストは今年で没後71年になる作曲家。当然、『惑星』に著作権はない。しかし、それを元に編曲し歌詞をつけた平原綾香嬢の楽曲には著作権が発生しこれはJASRAC管理下にある。私は、クラシックの、本来管弦楽曲としての『惑星』の中のジュピターをピアノ伴奏で演奏したのだが、その演奏に対する自己評価として「平原譲のような歌い回しになってしまった」という反省を込めた文章をつけた。JASRACはそれを読んで、「平原嬢の歌う『Jupiter』を私が演奏した」と誤ったというのである。本文をちゃんと読んでもらえば、演奏をちゃんと聴いてもらえば、彼女が謡う歌とは調性も音の高さもフレーズさえも違う(彼女のは演歌みたいにコブシが回ってる)ことはわかるはずである。
「Amazing Grace」は、18世紀にジョン・ニュートンという人が作詞したとされている。旋律は、新しくても19世紀に出来た、賛美歌、霊歌の類いである。それを今世紀、いろいろな歌手が自分の楽曲として歌い、また編曲されてレコードやCDになっているのである。JASRACのサイトを見てみると、Amazing Graceの権利者は、NEWTON JOHN、HAWKINS TRAMAINE、PAICH MARTIN L MARTY LOUISという3名の名前が書かれている。John Newton氏は300年近く前の人ですでに権利はない。JASRACは原曲を元にした特定の編曲・訳詞についての管理をしている、ということらしい。わたしがブログに「白い巨塔」の事をコメントしていたので特定の音源の演奏と判断した、ということらしい。これも本文をちゃんと読んでもらえばわかるし演奏を聴いてもらえばわかるはず。よって、JASRACが誤りを認め、この2曲(3演奏)の演奏は自由である、との回答が来た。
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私としては「当然でしょう!」と声を荒げたいところであるが、まあ「よかった、よかった」という事にしておく。
それにしても、上記事例から考えさせられることがある。私が、JS BachやBeethovenの曲を元に何か編曲した場合、それの著作権を申請して認められれば「私の曲、私の編曲、私の権利」になるということである。確かに、編曲というのも知的作業である、知的所有権を主張してしかるべきかもしれない。しかし、あきらかに原曲があって、それが著作権を失っていて、それを勝手に(というのはおかしいが著作権がないから断る必要がないという意味で)使って何か曲を書いたらその人の権利で、それでお金を儲ける事もできる、という事になってしまう。もう少しこの辺りの勉強が必要であるが、何かおかしいんじゃない?と思ったことであった。
オシマイ
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コメント
著作権の一件、お疲れさまでした…主張が認められて良かったですね!
私たちの方へは11月26日のコンサートに対する著作権協会への申告の書類が来ました。去年は2万円近くの出費でしたが、今年はモーツァルトをメインにしているので、去年の半額くらいになるでしょう。
ところで、自分の編曲に対して著作権を申請し認められた場合、それを有料、またはギャラが支払われるコンサートで自分が演奏しても著作権料が発生します。そのためにThe Flute Quartetの神田さんは申請していないそうです。自作自演をして支払うのがバカらしいからだと言われていました。ホントそう思います。
善良な演奏者に対しては無料にして欲しいですね…
投稿: ゆうゆう | 2005.10.28 21:59
balaineさん、大変でした。でも聞けるようになって、よかったです。(-。-;)ホッ お疲れさまでした。
投稿: @むーむー | 2005.10.29 00:45
ゆうゆうさん、@むーむーさん、ありがとうございます。
音楽著作権、特に編曲の話しは興味深いです。そういえば、編曲で飯を食っているような人でも、JASRACに申請していない人が多いですね。その編曲によって他人の「使用料」がドカッと入って来るようなら申請もするんでしょうけど。
でも、クラシックや民謡(賛美歌も含めて)の編曲を「著作権保護」しているのってなんだか腑に落ちないな〜。
投稿: balaine | 2005.10.30 17:42