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2005.09.06

また国民総医療費の話し

(9/5分Asahi.comより一部転用)
ニュースソースを解説、というか細かく批評してみます。
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『公的医療保険からの給付費や自己負担分などを含めた医療費の総額「国民医療費」が、03年度に前年度比1.9%増の31兆5375億円となり、国民1人あたりの医療費も同1.8%増の24万7100円だったことが、厚生労働省のまとめでわかった。対国民所得比は前年度と同じ8.55%だった。国民医療費は、診療報酬のマイナス改定により前年割れだった02年度から一転して、人口の高齢化などを背景に増加に転じた。』

 増加に転じること自体はニュースでもなんでもない。当たり前の状況である。高齢者が増え、医療技術が進んでいるのにどうして「総額医療費」が減少し得ようか?!この文章をどう読むか。立場によって変わる。
 アメリカは対GDP比15%の医療費がかかっている。日本はその半分程度なのだ。よくやっている!とも言える。米国の医療は政府のコントロールの及びにくい、市場原理の働くビジネス的制度。日本は、社会主義的に平等を目指す制度。(米国の貧富の差や、受益する医療レベルの国民間の格差は、今回のハリケーンによる被害のニュースを見るだけでもわかりますね)。素晴らしい制度の中で医療を受けている、と考えてよいのだろうか。
 平等である事が本当にいいのだろうか。差別はいけないが、医療の値段に格差を付ける事は積極的に考えていくべきである。
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『政府管掌健康保険や健康保険組合などに加入する会社員本人は、自己負担割合が03年4月に2割から3割に増えたため、前年度比12.8%減と大幅に落ち込んだが、高齢の加入者が増えている国民健康保険の医療費が同8.9%増加。さらに、生活保護受給者が増えたため、税でみる医療費も5.7%増えた。』

そうだった。「国民に痛みを強いる」保険制度の改定によって、「自己負担が3割」になったのだった。それによって病院の受診を控える人が出たのだろう。それで日本国民の健康状況が悪化している様子はないので、「安易な医療機関の受診を抑制する」効果は上がったように思われる。
 しかし、それも「焼け石に水」的効果であって、結局、老人や低所得者層の医療費の増大を抑制は出来ないということになる。
 上に書いた「差別化」。たとえば、開業医のクリニックの外来、一般市中病院の外来、地域の中核的病院の外来、大学病院などの高度医療を提供する病院の外来、これらを差別化する事が必要ではないか。現状では、2月や3月に一回の受診でいい、といって一日の外来患者数を減らそうと努力している大学病院や地域中核病院の外来診療費よりも、1週間や2週間ごとに外来受診をさせ処方箋料と外来指導管理料をとる開業医の外来受診が一番支払う金額が高くなるという逆転(?)現象が起こるのである。大学病院も地域中核病院も「地元に開かれた、敷居の高くない病院」を目指そうとスローガンをうたっている事が多い。すると、「大学病院を受診すると町の開業医にかかるより高くなるから嫌だ」というような「差別化」はそのスローガンには反する。しかし、医療の役割分担としては、こうなるべきである。風邪や、ちょっとした腹痛で大学病院を受診する状況はやはりおかしい。
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『年齢別では、65歳以上の医療費が全体の50.4%を占め、1人あたりの医療費も65万3300円で、65歳未満の同15万1500円の約4.3倍にのぼった。70歳以上は1人あたり73万4400円、75歳以上は同80万9400円と高齢になるほど医療費も増大する。』

 高齢である事は、病弱である事に等しいのである。老化は自然現象ではあるが、「腰が痛い」「膝が痛い」「胸が苦しい」という症状だけで軽症の方から、実際に脳卒中や癌や心臓病などの致死的疾患の方までたくさんいる。いて当然なのである。老人医療費を抑制するには、老人特有の病気であまり致死的疾患ではないものの診療費を減少させる手がある。実際、すでに着手されている。一番打撃をうけるのは整形外科である。健康的な年寄りでも、「腰が痛い」「膝が痛い」人はたくさんいる。湿布や塗り薬や痛み止めの注射や飲み薬を要求する。医療費がかからないから、遠慮なく要求する。
 これまで日本の経済発展を支え頑張って来た、現在の老齢者層には申し訳ないが、「薬を控えなさい」「少し我慢しなさい」ということになる。湿布代金や塗り薬代を大幅に引き下げるべきである。老齢故の疾患の診断や治療は診療報酬を下げていかないと、ますます増大する一方なのである。国民総医療費の50%を使っている老齢者層が納得するだろうか。。。
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『国民医療費の先行指標となる概算医療費では、04年度は03年度と比べて約6200億円(2.0%)増えており、同省は「04年度の国民医療費がさらに増えるのは間違いない」としている。』

 「としている。」だって。人事(ひとごと)みたいな表現ですね。突然大災害が起きて、数百万人単位で人口、特に老齢者の人口が減少しない限り、現行の制度では医療費が減少するはずがない、というのは最初に述べた通りである。
 結論的に述べるなら、「減らす必要はない」のである。医療費が増大する「程度」を抑えるよう努力は必要であるが、減少させられるはずはない。老齢人口が増え続けているのに国民総医療費を減らすというのは、必ずどこかに無理が生じるはずである。だから財源を増やすしかない。でも増税の前に、無駄に使われているお金を何とかできないものなのか!毎年、年度末になると急に道路工事がされたり新しく信号が付いたり道路の塗装が塗り替えられたり、役場で急に出張が増えたりパソコンが新しくなったり。。。
 本当に必要なものがどこまで行われているのか?「年度」で考える予算、前年の実績から考える予算案、というのを各方面(役場に限らず会社でも)で考えていけば、かなりの「無駄金」が私の推測では全国的に見て何兆円という単位で出てくると思う。それをすべて「医療費」特に老齢者層や低所得者層の福祉に充てるというのはどうだろう。。。口で言うのは簡単だが、、、
(今日の音ブログは『紅花「おもひでぽろぽろ』です。)

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