« 脳の機能分化と同定 | トップページ | 非優位半球 »

2005.08.15

音楽の映像

 音楽、特にクラシックの演奏はできれば生で聴きたい(これはロックだってポップだってそうでしょうが)。
 音楽は「聴くもの」ではあるけれど、クラシック音楽にだって「見る」要素は多分にある。かっこいい指揮者が悲痛な表情でチャイコフスキーを振ったりすれば、男性の私でも見とれ憧れる。威厳と慈愛に満ちた風格漂う老練の指揮者がオケを従えて自在な棒を振れば、聴こえてくる音そのものに加えてその空間を支配する幸せな雰囲気が時間を共有する聴衆にも降り注いでくる。そんな時はとにかく手が重くなるのも忘れてひたすら拍手を送る。
 日本人の若手の女性演奏家に、ただ若いというだけではなくルックスを兼ね備えた実力者が多くなっていて、HPやファンクラブもあったりする。こういう事に眉を顰める向きもあろうが、私はとても良い事だと思う。クラシック音楽に対する偏見を取り除いてくれる一助になるだろう。難しい顔をして一端の評論家ぶって演奏の解釈だとか演奏者の技術だとかを批評したり感想を述べるのがクラシック音楽ではない。もっと「楽しむ」ものである。
 世界陸上で少しは男性陣も頑張ったように(?)、音楽の世界でも女性に押されていたいい波が少し男性にも来ているようである。「五嶋みどりの弟」として注目されている五島龍さん(君ではなく、あえて『さん』と呼びたい)がメジャーレーベルからCDデビューした。まだ聴いていないがとにかく素晴らしいらしい。「、、、の弟」という呼び方はもう辞めて頂きたいと思う。神戸で開催された第6回国際フルートコンクールで小山裕畿という19才の青年が一位になった。ベルフィル首席フルーティストの(憧れの)パユがこのコンクールで一位を取っている。将来性、期待が大である。まだ実際の演奏を聴いた事がないのだがとにかく素晴らしいらしい。
「若手の男性もがんばってんじゃん!」、である。
 音楽を見る、といえば、昨日放送のN響アワーは先週に引き続き司会の二人がスタジオの外に出てのものだった。日本の近代のクラシック音楽会に大きく貢献した二つの音楽堂(ホール)が紹介された。日比谷公会堂と東京文化会館。この二つには個人的な思い出がある。
 大学生の頃、知り合いの人に「来てみない?」と誘われて、日比谷公会堂での映画撮影のエキストラをやったことがある。村川透(大都会パートIIIとかで有名)という山形出身の映画監督が大藪晴彦原作「野獣死すべし」のワン・シーン;主演の故松田優作と相手役の小林麻美が日比谷公会堂にクラシックの演奏会を聴きに来ているというシーン;の一聴衆なので映画には映っていなかった(ガックシ〜)。花房晴美さん独奏でショパンのピアノ協奏曲が実際に演奏されたが、指揮は村川透監督の実の兄で、当時山形交響楽団常任指揮者(現創立名誉指揮者)の村川千秋氏であった。「なんでこんな古い建物でやるんだろう?」と当時は訳もわからずにいたが、昭和4年に竣工した由緒正しい日本のクラシック音楽シーンそのものと言えるホールだったことを昨日の放送で知った。
 東京文化会館については8/10のブログに少し触れた。小学生が対象のピアノコンクールとはいえ、一応全国大会であったし、私は中国四国地方代表だった。田舎者の小学生に「東京文化会館」なんて言ってもな〜んにも知らなかった。親に連れられるまま「発表会」に参加するノリで行った。ステージがやたら広かったのは覚えている。客席を見る余裕はなかった。緊張はしていたと思う。でも何が何だかわからないうちに終わったのだ。自らコンクールに出たいと思った訳でもなく、ピアニストになりたいと思っていた訳でもなく(小学校5年生だったがぼんやりと医者になりたいな〜と考えていた)、コンクールに出ていい成績を残そうとか全く考えていなかった。それよりも演奏した曲(課題曲と自由曲)すら、ただ譜面に書かれている通りに間違えないように弾いて先生に教えられた通り演奏する、それしかなかった。作曲者がどうとか曲のアナリーゼがどうとか全くわからないお馬鹿な小学生だった。fとかpとかそんな事の「本当の」意味すら知らず、f=大きく、p=小さく、だと思っていた。
 当時の記憶は曖昧になってはいるが、このコンクールについて覚えている事が4つある。一つは、私は「補欠」であったこと。実は中国四国地区予選で私は優勝できなかった。だから全国大会に出れるはずではなかった。それが小耳に挟んだ話しでは、その年の小学生上級部門に男子が0だったらしく、本部の方で「どこかに適当な男の子はいないのか?」となって次点だった私が拾い上げられたとの事だった。別にプライドは傷つかなかったがそんな話しが耳に入って、「次点か〜」と思っていた事は事実。2つ目は、本番で確か私の直前に演奏した仙台出身の6年生の女の子が優勝したのだが、彼女がオマセさんだったのか、彼女の演奏が終わって舞台袖ですれ違う時に「頑張ってね!」とホッペタにチュッ!とされた(ような記憶がある)。3つ目は、その時の演奏が録音されたレコードを聴いてもわかるのだが、とっても広いホール、広いステージだったので、小学生の僕がステージの真ん中に置いてあるピアノにたどり着くまで「コツコツ」という靴音が長く響いていた。4つ目は、審査が終わって審査委員長の講評のとき(どなたかは存じ上げないがきっとそれなりの著名な人であろう、女性だった)が、「今年はレベルが低い!」と言われた事。「あ〜、次点で補欠の僕なんか出てるしね。」とちらっと思ったが、そんな事は未だかつて親にも誰にも言っていなかった。子供だってわかってんだし少しは傷つくんだぞ〜!とその時の「先生」に申し上げる。(^^;;;
 その東京文化会館が5階席まであるとは昨日の放送まで知らなかった。あんなに広いホールで、私の貧弱なピアノが鳴り響く訳はないが、まあ、結果としては「上野の文化会館のステージでピアノ独奏をしたことがある」と言ってもウソをついていない事になるのだ。いつかフルートで乗るぞ!
そんなことを考えながら観ていた「N響アワー」であったが、最も感銘を受けたのは最後に流れた映像。なんとエルネスト・アンセルメが約40年前に振った映像であった。私は実際の演奏は聴いていない。噂しか知らない。そういう人の指揮、立ち居振る舞い、そして演奏が観て聴けるなんて、なんと映像記録とは素晴らしい。
 更に、先日買ったム○マ○のDVDマスタークラスシリーズ。故吉田雅夫先生に、ウィーンフィルのシュルツ氏、ミュンヘンと芸大の教授であったパウル・マイゼン氏。こんな素晴らしい人達がまるで直接教えてくれるように丁寧に楽曲を解説し解釈を述べ演奏技法を伝授してくれる。大袈裟に言えば世界のフルート界の財産のような物である。これが半永久的に手元にあるなんて素敵な事である。ケースを眺めているだけで幸せな気分になれてしまう。音楽の映像には夢がある。

|

« 脳の機能分化と同定 | トップページ | 非優位半球 »

コメント

ホッペにチュッ!ですか!!!
いやぁ、セピア色の青春じゃないですかぁ。
いよっ!
よっ!!

若手の演奏家って見てるだけで面白いですよね。
僕は浜松国際ピアノコンクールにいつも若手が出てくるので
ワクワクしながら見ています。
ジャズピアノの世界にも若手が最近進出してきていますよね。
いい流れですね、僕も好きです。

投稿: ユウ@来年研修医 | 2005.08.15 19:46

だ・か・ら、小学校6年の女の子が小学校5年の男の子に、ですよ!
な〜にが青春なもんか、そんな年で。。。(笑)(^^;;;;

ジャズは、上原ひろみちゃんとかですかね?
上原彩子さんと話した時に、「あの。ヤマハでおんなじ名前のアヤコで、ジャズやってる子、いますよん?」って言ったら、彩子さんに「ああ、ひろみちゃんですよね。同じ名前って言っても、上原が同じ、、、」と言われてしまい、「ははは、、、」と笑って誤摩化すだけでした。

投稿: balaine | 2005.08.15 20:08

そうそう、生がいいですね。五感から感じたい。藤原歌劇団の高名な方でも時に出演する穴場の小さなオペラサロンにたまに行きます。オペラに興味なくても、のめりこんじゃいます。
昨日上原ひろみが「題名のない音楽21」にでてました。去年、オスカーピーターソンが来た時、国際フォーラムで、前座みたいに演奏してました。とってもパワフル。

投稿: @むーむー | 2005.08.15 20:33

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74618/5479569

この記事へのトラックバック一覧です: 音楽の映像:

« 脳の機能分化と同定 | トップページ | 非優位半球 »