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2005.07.26

スムーズ

 今日の手術はスムーズであった。特に大急ぎにやった訳ではないが、1時間45分で終了した。
 左の写真のようなスタイルで手術する。経鼻的(鼻の穴から操作する事)内視鏡下(内視鏡の映像を見ながら)下垂体腫瘍摘出術であった。耳鼻咽喉科医のように内視鏡の映像をモニターで見ながら鼻の穴から細い手術器具を挿入して、鼻の奥の方で鼻中隔を反対側に亜脱臼させて粘膜を切開し、鼻の一番奥の方にある鋤骨という、副鼻腔と鼻腔の間の骨を細いドリルで削って蝶形骨洞という下垂体のすぐ前の副鼻腔に到達する。そこの粘膜を剥がした後、また細いドリルでトルコ鞍底という下垂体の入った骨の器の底を削って硬膜を切開すると腫瘍に到達できる。ここまで約一時間。腫瘍は柔らかく摘出しやすかったし、今日のは長径18mm位でそんなに大きくないので簡単に肉眼的全摘出ができた。
 手術場と病理検査部をネットで繋いだので、術者も病理顕微鏡の画像を見ながら術中に病理医とdiscussionしながら判断できるようになったので、今日はその装置を用いた。パソコン画面上に綺麗な典型的腺腫構造が映し出された。あとは止血を確認し、骨片とフィブリン糊で鞍底を形成して粘膜と鼻中隔を元の位置に戻し、抗生物質の入った軟膏を付けた細長いガーゼを鼻腔内に挿入して手術を終了した。
 最初から最後までどこにも澱みがなくスムーズに手術は終了しもちろん輸血もなし。術後の麻酔の覚醒も良好で既に十分お話しが出来る。いつも1〜2時間で終わる手術ばかりだったら、脳外科も楽なんだけどな〜。

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