« 納豆の日 | トップページ | 髄膜腫の手術 »

2005.07.11

何も変わらない

 当たり前の話しですが、年がイッコ増えても何も変わりません。自分としては、もっと大人にならなければ(今更?今頃?)と思っていますが。
 今日は、脳卒中登録が進みました。もう少しで終わります。半年で100名以上、神経内科とあわせると160人くらいの「新患」がいます。平均的に一日に一人です。うちは脳卒中センターは無いし救命救急センターもないし、地方の一都市にある中規模の病院で、近くに似たような規模の病院が2つあるのに、これくらいは脳卒中が発生しているのです。
ーー
 明日は、傍矢状洞髄膜腫の手術。大きさは3cmくらいなので5,6時間で終わる予定である。ただ頭頂から後頭にかけてなので患者さんはうつぶせの体位で手術を受ける事になる。麻酔の時間は7,8時間になるから、その間ずっとうつぶせになっていると顔が腫れる。最新型の手術顕微鏡のデモをメーカーの方から是非お願いしますということで2週間前から受けているのであしたもこれを使う予定。標準的な装備で4000万円くらいするものである。こういった手術器械や手術技術などは進歩しているにもかかわらず、医療費抑制ということで手術料(=保険点数)が抑えられたり下げられたりするのは、何かおかしいと思うのだがこれは医者の論理なのだろうか?

|

« 納豆の日 | トップページ | 髄膜腫の手術 »

コメント

ブログ、ずっと拝読していたのですが、初めてコメントします。それにしても、お医者さんも、いろいろ大変ですね。

問題は、顧客(患者)の支払能力を無視した医療技術の高度化による高コスト化だと思います。

これからは、患者もお金がないと「あなたはここまでしか治療できません」とか言われて診てもらえない時代が来るんでしょうか。

また日本の医療器械の異常な高さは、国際的レベルと比較しても、もっと問題になって良いはずです。業者と価格交渉する仕組みが病院にも求められると思います。

投稿: 流風 | 2005.07.12 09:17

医者の論理ではなく、厚生労働省の問題のような気がします。長くなるので、TBさせてください。

投稿: @むーむー | 2005.07.12 11:51

流風さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
その昔、お金がないと抗生物質が使えず肺炎で亡くなって行く人がいた時代がありました。親の手術や長期入院の費用を稼ぐために先祖伝来の田畑を手放したり、学校をやめて就職したり、若い娘を遊郭に売り飛ばしたり、という時代もありました。
 現行の健康保険制度は、所得の高低にかかわらず進歩した高額な医療を享受できるという面では素晴らしい制度です。しかし、保険制度があまり変化しなかった間に医療の現場は驚く程進歩し、更に医療にはお金がかかるようになっているのです。
「問題は、顧客(患者)の支払能力を無視した医療技術の高度化による高コスト化だと思います。」
という表現は正しいようでおかしな言葉だと思います。もともと医療は収益をあげることをその主目的とはしていないサービスなので、支払い能力などは考えず「より良い医療を、より安全な治療を、より進んだ技術を、、、」と突き進んで来ているのです。病院はつぶれさえしなければ赤字でもいいのです。人を助ける現場としてはそれでもいいのです。しかし、社会の成り立ちとして、税金で成り立っている公的病院も赤字では立ち行かない状況になり、現場に「経営」の意識を注入されます。無駄は良くないですが、高度な医療をどんどん遂行する事のどこがいけないのでしょうか?医療技術が高度化して高コスト化したことが悪いように書いていますが、それじゃあ、安全性が高くて性能の良くなった車に高いお金を払うことについてはどうお考えですか?
問題なのは、命はただではない、医療にはお金がかかる、ということに無知であり続けた国民の意識だと言えませんか?健康保険制度を見直して一人一人の負担額をもっと増やすか、国民から税金をもっととるか、無駄に使われているらしい公的資金、悪用(?)されている郵貯などの資金を医療費に回すか、抜本的な対策を施さなければあなたがおっしゃるように、「この治療を選択するためにはこれくらいのお金がかかりますよ」というような経済的理由による治療選択を患者に迫る事になるかもしれませんね。

投稿: balaine | 2005.07.12 13:26

@むーむーさん、TBありがとうございます。
手術に行ってきま〜す!

投稿: balaine | 2005.07.12 13:36

若干文章のつたなさから誤解を与えているようですが、医療技術商品のあり方が問題だといっているのです。

通常民間レベルでは顧客の予算に合わせて、商品開発します。しかし、医療商品の会社は市場での競争も曖昧で、談合があるかどうか知りませんが、高いものを医療関係者は買わされていると感じています。一度海外から直接取り寄せしたら、どれくらい価格が違うか調べてみればと思います。

お医者さんとか、一般に技術者という方々は、新しいものを欲しがります。しかし、価格と品質のバランスというものが必要です。医療経営に先生方も無視できないと、思うのですが。

投稿: 流風 | 2005.07.12 15:50

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 何も変わらない:

» 根本から問題のお役所 [たかが頭痛が脳腫瘍!!]
◆ 医師の論理ではなくて、厚生労働省の問題だと思います。◆先頃の腫瘍内科専門医を増やしてという「がん難民」の要望にしても、保険点数配分の操作をまずやればいいのにと思うし、新薬の早期認可を求める事やら、あれこれ、いろいろ。。。それぞれの立場で、厚生労働省...... [続きを読む]

受信: 2005.07.12 12:43

« 納豆の日 | トップページ | 髄膜腫の手術 »