髄膜腫の手術
今日は、午後から約6時間の予定で手術。
手術前はなるべく余裕をもってこれからの手術以外の事は考えなくてすむようにして、集中したいのだがそうもいかない。いつも通りICUから回診を始めていた。先日、両側脳室ドレナージを行った患者さんが一昨日からお腹が張っている。内科にfiberscopeで見てもらったところ、拡張した腸の中に偽膜が認められ「偽膜性大腸炎」と診断。脳室ドレナージに対して普通の抗生物質を使い始めてまだ5日目でのことである。
とりあえず抗生物質は中止し、経口で偽膜性大腸炎MRSAに効く薬剤の投与に変更した。その後も腹満は改善せず、今朝からは呼吸苦も出現している。CT上、脳室は小さくなり脳室内出血も流れ出しており脳室ドレナージを一時遮断として上体を45度ほど起こし、鼻から胃へ、下からも直腸へ排ガスのためのチューブを差し込んだ。麻痺性イレウスになっているので腸の動きを改善させる薬物も使っている。末梢血管が一時虚脱して点滴も刺しにくくなったので、CV line(中心静脈ライン)も取った。もう一人の若手脳外科医は朝から外来で、今日は副院長と回診であるが、こういうこまごまとした現場の手技は副院長は頼りに出来ないので自分一人でやらなければならない。病棟の回診、指示期間の切れるオーダーの確認追加、処置をやってからICUで内科医と外科医にコンサルトしつつ必要な事をやりCV lineを挿入して胸部写真でラインの位置を確認した。OKである。
午前中の3時間ちょっとの間にこれらすべてを一人でやらざるを得なかった。何とかこなし昼食を摂った。
「午後一時以降は手術に集中するから急用以外は私に連絡するのは遠慮するように(第一選択にしないように、という意味)」と指示してパソコンの前に座ったところ。
さあ、音ブログに、7/10に新たに録音した曲の中から今日はave verum corpusを選んでアップした。これを聴いてまず心を落ち着けよう。そして集中。
「手術がうまくいきますよう」
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コメント
何かいつもに増して病棟のリアリティを感じました。
偽膜性腸炎すごい早いですね。
あっという間の菌交代ですね。(笑)
手術お疲れ様です!
投稿: ユウ@来年研修医 | 2005.07.13 00:36
ユウさん、そちらにもカキコしてみました。
患者さんはまだ苦しんでいるんですが、内科医は我々からみればのんびりしてるんですよね〜。「後で診に行きますから」って!今、来いよ!見たいな感じですよ。仕方が無いので消化器外科に相談したらすぐ来てくれました。
何が出来るかも大事ですが、どう対応してくれるか、というのは大切なんだと身を以て勉強しました。
投稿: balaine | 2005.07.13 12:49