急いでも仕方がない
とは、今の自分に言っているのです。
昨日、今日と2回目の「指揮者練習」。山響の指揮者が、我々アマオケの秋の定期演奏会の曲目を指導してくれる第2回目。昨日は、序曲ベルリオーズ作曲「ローマの謝肉祭」と協奏曲ロドリーゴ作曲「アランフェス」の練習。両方ともピッコロが活躍するのだが、昨日睡眠3、4時間で一日病院をかけずり回り18時に病院を出て1830からの練習にギリギリ間に合うという余裕のなさ。疲れていて変に力が入らなかったためか、いい加減な演奏ではあったがそこそこ吹けた(と自分で思っているだけ)。
今日は、メインのブラームス交響曲第4番の練習。朝、8時から病院に来てさっさと仕事を終わらせて10時からの練習に行こうと思ったが、昨日入院したくも膜下出血、病棟で輸血している人、先週手術した人の抜糸などなどいろいろしていたら、あっという間に10時を過ぎた。
「明日は遅れるか、午前中来れないかもしれません」
と昨日のうちに言っておいたので、当たり前の事ではあるが仕事優先!
先ほど出した採血結果が出てくるまで休憩しながらこれを書いている。今は10:30。データを確認したら練習会場へゴー!朝のうちに車に楽器や楽譜は積んであるので直行できる、そんなに頑張んなくてもいいんじゃない、どうせアマオケなんだから。。。とは考えたくないのが私の性分である。
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というわけで、データ確認後行こうと思っていたら、ICUのくも膜下出血の人が刺激での反応で診る限り、右手足の反応が鈍い、とナースの報告あり診察すると、わずかな差ではあるが確かに右が弱いように見える。持続的に鎮静剤を静脈投与しているのでそのせいかもしれないが、水頭症や再出血の可能性を考え緊急CTを撮った。結果は、水頭症は軽度で昨日からの著名な進行はなく再出血もなく、おそらくくも膜下出血による圧迫と循環不全(広義の血管攣縮?)で少し右手足の運動障害が出ているのかも知れないと判断。特に治療方針は変わらず。
ということで午前中はやはり練習に行けず。午後は1330練習開始という事で昼ご飯をとって1325に練習会場に行くと、既に始まっていた!慌ててピッコロを出し(ブラームスの第3楽章だったので)吹き始めるが、ウォーミングアップもせず、音合わせもせず、いきなりオケの中に入って行くのは困難。音がかすれ指がもつれる。はぁ〜。心の中でふか〜いため息が漏れる。
20分程してようやく楽器も暖まり少しは音が出て来た。とそこへポケットベル。ピーピーピー。
今度は救急外来に40才代の脳出血。血圧が来院時260/135だという。すぐに血圧を下げるよう指示して、指揮者とパート仲間に挨拶して練習会場を辞退。14:18には病院着。
そして今はHCUに重症の脳出血を入院させて一息ついたところ。15:50になっている。
こういう仕事をしている以上は最初からこんな日もあることは予測済み。というか、だからこそ今までオケなんてやる暇がなくてやっていなかった。仕事も趣味もどっち付かずになっては困る。仕事は当然全力でやるし趣味も可能な限り自分の納得のいくまでやる、というのが自分の中では当たり前。どうしてもフルートパートのトップは「自分がやりたい!」などと言えない。実力も伴わないが何よりもパートリーダーとしての責任が果たせないからだ。のんびり楽しみながらでも出来る範囲で一生懸命やって行こう。
そう、"FESTINA LENTE"である。
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コメント
始めまして、何時もご苦労様です。私も1年前に、くも膜下出血になり、後遺症も無く元気に、4年生の娘のママ、夫の妻として忙しい毎日です。脳外のDrには頭が下がる、事ばかりです、myDrも何時お休みしているのだろうと思い、何時お休みしてるのかたずねたところ、お休みは無いよ、夜空いてるときは、寝ますよこれが仕事だからと笑顔で答えられました。先生も、お身体ご自愛してください
投稿: みさ | 2005.08.01 08:03
先日の外来診察の時
「先生、夏休みは?」
とMy dr.にお聞きしたら、
「ありません。でも1日くらい休もうかな?」
って言ってらっしゃいました。
入院していたときも
「先生、家に帰ってるんですか?」
ってお聞きしたら
「帰れないことも多いですね。自分は好きでやってるからいいんですが、家族には評判悪いです」
って言ってらっしゃいました。
先生も、少しは、息抜きもして、暑い夏、乗り切って下さい。
投稿: mayako | 2005.08.01 10:20
昨日の日経新聞にどこぞの病院長が「勤務医が忙しすぎて、40ぐらいになると開業してしまう。働く環境を改善しないと」と記しておられました。
私が以前別の病気で大学病院へ入院した時、手術した日の夜遅く、病室へ診に来てくださり、翌朝は早くにまたきてくださった。60才位の教授で、白い巨塔はウソだと思ったことがありました。
以前も書き込みましたが、病院勤務の先生は忙しすぎますよね。責任も重くて、もっとお給料をうんと高くしないといけないと、私の主人は申しております。マスコミはすごい高給なんですよ。しかも取材費だか交際費だか、若いうちから贅沢で。(話がずれました)
投稿: 侘び助 | 2005.08.01 11:13
みささん、mayakoさん、侘び助さん、ありがとうございます。
今の私は、大学病院勤務時代よりは自分の時間がたっぷり作れますよ。大学にいた頃は、診療、当直の他に、研究、学会発表、学会主催準備、学生講義、ポリクリ指導、様々な会議、医局の諸行事(たとえば人の送別会だとか野球の試合だとか)、病棟の諸行事があり、さらに医局長時代は教授の指示でする仕事、医局の様々な雑事(たとえば新しい秘書の面接だとか医局の模様替えの指示だとか)、大学や市内での研究会に講演に来られる偉い先生の駅や空港への送り迎えなどもありました。ある時は著名な先生が、スキーがしたい、と講演会をわざわざ2月にして、スキー場と高級温泉宿にお連れした事もありますし、別の偉い先生と教授、助教授と4人でゴルフに行ったりもしました。ある方の御葬儀に参列できない教授の代理で、札幌日帰り(というか滞在時間2時間)もありましたし都庁の目の前の高級ホテルでのある教授就任パーティに教授名代で出席したりして偉い先生方の間で小さくなっていなくてはならなかったり。これも「仕事」ですよ〜。
勤務医が忙しいのは絶対数が足りないからです。大学病院の医師の方がもっと忙しいけれど、人が沢山いるのでカバーしあえるんです。今、ここの病院で、私の代わりがすべて出来る医師はいませんから私が休みを取る時は緊急患者さんの手術は他院に送るか、待ってもらうか、私が休みを返上して出勤するか、しかありません。このマンパワーの不足が忙しさの原因です。給料が少ないとは思いませんが、仕事量からすると安くこき使われている、という印象はあります。ここの脳外科単科の「一ヶ月」の診療収益は私の「年収」の3〜4倍です。
投稿: balaine | 2005.08.01 14:33