« 予定通りに行くという事 | トップページ | 長寿世界一に思う »

2005.07.22

世界初演

千住明作曲 交響曲第一番。
山形交響楽団の定期演奏会で、「庄内定期」と呼ばれる演奏会が本日おこなわれた。
本日のプログラムは、高木和弘氏ソロのメンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲ホ短調とシューマンの交響曲第4番ニ短調、そして「世界初演」の千住氏の交響曲。
山響の常任指揮者でミュージック・アドヴァイザーの飯森範親氏が「山形から世界に向けて発信する」というコンセプトで千住明さんに委嘱した作品の初演が一つの目玉だった。千住氏は、テレビドラマの主題曲やコマーシャルの曲などを数多く手がけるいわゆる「売れっ子作曲家」であるが、かねてより交響曲を書きたいという意欲をお持ちで、飯森氏の希望とうまく合致してできあがった、3楽章形式およそ20分強の短めの作品であった。最近では、SMAPの中井君が主演して話題となった「砂の器」の曲を担当しているが、私はあのピアノ協奏曲「宿命」は大変好きである。非常に魅力的な旋律を書く、オリジナリティ溢れる作曲家で凄い才能をお持ちの方だと思っている。
この交響曲は、明日明後日山形市で行われる本来の山響の定期演奏会で初演されるのであるが、本日庄内で本当の意味での世界初演(実はこの演奏会の前に東京で初演されていたことを後で知りました)となったのであった。さて音楽は、、、私ごときが批評めいたことを書くのは避けたい。でも、「交響曲?」と言う印象を受けた。交響詩?というのか、短いのだ。テーマはあるけれど、いわゆる曲の中心となる動機というか、「ぐっと心に迫って残るフレーズ」はなかったように思ってしまった。何回か聴くとまた違うのかも知れないが、たとえば「運命」のダダダーンとかブラームスの甘い旋律とかに(そういう歴史上の
大作曲家と比較しちゃいけないのかも知れないが)みられる「核」というものが乏しかったような印象であった。
第一楽章:Open the Gate、第二楽章:Brilliant Phantom、第三楽章:Prayerという副題がついている。オーケストレーションは見事であったし、第二楽章などは演奏会前のプレトークで指揮の飯森氏が解説したように、「映画音楽」的雰囲気を持っていて美しかった。私は個人的に、オードリー・ヘップバーンが現れる映画の音楽のように感じた。第三楽章は、「祈り」である。この曲自体のテーマが「祈り」であると、作曲者自身のコメントもプログラムに書いてあった。その訳は、千住氏のごく親しい旧友が先日の福知山線脱線事故で亡くなられたことがおおきな影響を与えた、ということであった。3つの楽章を通して、美しく時に複雑に時にシンプルなオーケストレーションが見事でまったく眠くならずに聴き終わった。そして確かに「祈り」を感じ、自分だけでなく会場の聴衆全体がオーケストラを見ながら音楽を聴きながら祈りを捧げているように思えた、とまで書いたら大げさであろうか。できあがった交響曲がこれから世界に向けてどのように発信されていくのか、暖かく見守りたいし第二番、第三番と名作を生み出して欲しい。出来るならば、続けて山響世界初演を何作も続けていって欲しいと思う。ベートーベンだって9つの交響曲のうち、1,2番あたりになるとどんなテーマ、動機を持っているかぱっと口ずさめる人がどれくらいいるだろうか?
 飯森氏の積極的な前向きな取り組みと、それに応え才能を示した千住氏にBravo!と言おう。

|

« 予定通りに行くという事 | トップページ | 長寿世界一に思う »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/74618/5097350

この記事へのトラックバック一覧です: 世界初演:

« 予定通りに行くという事 | トップページ | 長寿世界一に思う »