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2005.06.30

明日から7月

 今日は先日髄膜炎から急性水頭症になった患者のシャント手術であった。理想をいえば、もう少し脳室ドレナージを継続して髄膜炎の完全な治癒を待ちたいところであるが、血小板無力症のため出血傾向がありまたドレナージが効かなくなる心配があることと、いつの時点で、検査データのどの時点で「治癒」と判断するか難しい点もあるので、家族にいろいろな可能性;シャント手術を行う方針だが術中の髄液検査で細胞数が高ければ脳室ドレナージにしてくる、シャント手術が成功しても炎症の再燃、出血などで詰まってしまいまたドレナージ手術が必要になる可能性がある;などを説明の上、手術に踏み切った。CT上水頭症は進行しており意識レベルの低下も明らかであったからである。
 この患者さんは、腰椎の手術後いろいろあり、腰仙部に大きな褥創も出来ているため、腰椎穿刺による髄液検査が出来ない。脳室に管を入れてそこから髄液を採取し緊急検査に回した。その結果がでる間、脳内視鏡手術の経験から、術中に人工髄液に近い組成の点滴薬を38℃に加温して、それを合計で約400ml用いて脳室内の洗浄を行った。脳室の中の圧をモニターしながらゆっくり注入、排出を繰り返し、肉眼的に無色透明で粘稠度がほぼ0に近い状態になったことを確認し、検査結果で髄膜炎が治癒傾向であることを判断してシャント手術を行った。手術は特に大過なく終了した。今回も手術前に血小板輸血を10単位行った。輸血した血小板の寿命は3,4日なので月曜には血小板輸血の追加が必要であろう。
 火曜日に9時間弱の手術をした患者さんはほんじつ一般病棟に戻った。水は飲めるが食事はまだ難しいようである。プリンよりアイスクリームの方が食べやすかったということで、軟らかい食事を開始する前にもう少しアイスクリームなどで様子を見ながらSTによる顔面および嚥下の訓練を始めることにした。めまいや吐き気はほとんどないようであるが、ベッドに近寄る私が床を歩いているのではなく壁から水平に立って歩いて来たように見えたという。小脳の症状か。。。まだ術後一日とちょっとなのだ。
「これから気長に頑張りましょう」と声をかけると「はい、がんばります!」と力強い返事をもらえた。
 HCUで抜管を試みた脳幹出血の方は、あすにも気管切開をすることになるだろう。
ーー
 気がつくと6月も終わりである。平成17年が半分終わってしまった。
 前にも書いたが、今年は「神戸国際フルートコンクール」が開催されるため、P楽器のサマーキャンプがない。そこであるプロ奏者の教え子達を中心とするフルート夏合宿に参加しようと目論んでいる。8月の第一週なのだがすでに外来予約を入れていたので変更を開始した。夏ものんびりとはしない。というより、折角休みがとれたら一分も無駄にしないように「遊び」に使いたいと思ってしまう。性格なのか、職業病なのか、、、いずれにしろ病的かも知れない。。。(^^;;;

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コメント

 明日は7月、年々時間が早く過ぎていく気がします(汗)。
 このブログにお邪魔するようになり、直接関係のあるくも膜下出血だけでなく、さまざまな脳外科疾患に関するレクチャーに触れ、新鮮な毎日です。
 そういえば今日の朝日新聞の夕刊に、5月に行われた脳卒中シンポジウムの紙上採録が出ていましたね。
 開催地山形の土地柄の表れた内容で、市民への啓蒙活動の大切さがよく分かりました。

 夏休みの計画、楽しみですね。忙しく、でも優雅に遊んでくださいね(笑)。

投稿: ムンテラ | 2005.06.30 21:19

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