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2005.06.25

今日も日直

当院では45才以上の医師は、宿直を免除され土日祝日の日直が割り振られる。月に1、2回は回ってくるがこれは「お勤め」と割り切って仕方なくやっている。
 午前中だけでもたくさんの患者を「さばいた」。診た、というよりテキパキと「さばいた」という感じがする。
 背部痛で来院した男性。X線写真では「石」は写っていないが尿検査で血尿+++であった。疝痛は無く排尿時痛も無いので、週明けの泌尿器科受診を指示して痛み止めを処方して水分を多めに取るように指示して帰宅させた。5日前から風邪症状と吐き気があり、食べても殆ど吐いてしまう。そのうち治るだろうと市販の風邪薬を飲みながら4、5日たっても嘔吐が収まらず39℃の高熱で来院。「もっと早く来いよ!」と思いつつ、採血、点滴、胸部・腹部写真撮影を指示。わずかに肺炎か?CRPは30近い。座薬で解熱させると「楽になりました」と。
 点滴が終了したら経口抗生物質などを処方して帰宅させようとしていたが、大腸ポリープで具合が悪い時は入院する話しになっているという患者さんを診に来た内科医が、その「風邪→肺炎」の男性も入院させるということ。お願いした。
 1ヶ月前に自宅で転んで左の臀部を打撲、その後痛くて杖歩行で夜もぐっすり眠れないという老人が来院。X線写真では、大腿骨も骨盤も骨折はなさそう。湿布と痛み止めを処方して月曜に整形外科を受診するように指示して帰宅させた。「もっと早く、平日に整形外科に来いよ」思っても口に出しては行けない。。。。
その他に高熱を出した小児。膠原病でかかっていてリューマチ熱が出て食事もとれず体力が落ちた、という人。転んで膝を打った人。トタン屋根で右手中指と薬指を切った人(この人は4-0ナイロン針で8針ずつ縫合した)、腰痛で動けなくなって救急車で来院。胸が苦しいという85才の女性、、、、いろんな人が来られる。
今日の午前中は小児が少なかったのが救いだ。土曜の午前中は開院している開業医や医院もあるからだろう。こうしてまた日直業務をこなして行くのだが、どうしても患者さんを診ているというより「さばいている」という感じになってしまうため、達成感が少なく虚しい感じを受けてしまうのだ。

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コメント

一次、二次、三次医療の住み分け、家庭医、専門医、なんでもかんでもごちゃ混ぜ。どうなってるのでしょうね。少しずつ進んでるのでしょうかしら、とっても遅々としているように思えます。本当に必要な患者に、balaineさんの神経を使って欲しいです。balaineさんのことだけではなくて、病院の設備やいろんなことを含めて。

投稿: @むーむー | 2005.06.25 14:25

 次々訪れる患者さんをさばいていると、達成感が少ない...
 ひげ鯨先生はやはり外科医なのですね。手術をしてこそ充実感を感じられるのでは?
 早くアメリカ並みに医療の住み分けが実現すると良いですね。

投稿: ムンテラ | 2005.06.25 19:38

@むーむーさん、ムンテラさん、
 一次から三次まですべてこなせてこそ信頼できる医師だと思います。ただ、救急外来は一人の患者に固執すると、次々に押し寄せてくる患者さんを「さばききれ」ず、自らの首を締めることになるので、いい意味でも悪い意味でも適当な医療になってしまうのです。
 「調子が悪いから点滴して欲しい」という患者を「どう調子が悪いのか、根掘り葉掘り」しても詮無きこと。まず患者が望むようにさっさと点滴してあげて奥のベッドに移し、次の患者の診察に移る方がみんなが幸せなのです。ほとんどの患者さんは、救急外来で可能な検査をしても「対症療法」で帰宅ということになります。痛みには痛み止め。発熱に解熱剤、打撲には湿布、風邪には風邪薬。そんな感じなので、「本当にあれで良かったのかな〜?」という疑問と言うか不安を残したまま次々と患者を診て行かなければたち行かなくなるのです。救急外来では、正確な診断をつけることに固執しすぎてはだめなのです。(もちろん重症患者は別ですよ)
 点滴して寝せておいた患者さんは、手のあいた時に様子を見に行き、改めて診察するとたいていは「だいぶ良くなりました」と言うことが多いのです。ほとんどの患者については、何科の患者かを強制的に振り分けなければなりません。保険診療上、病名をカルテに記載することが求められるからである。そして、週明けにその科を受診することを強くすすめます。そうすることで「あれで良かったのかな〜?」という不安も少しは払拭できるのです。

投稿: balaine | 2005.06.25 22:22

なるほどォ~救急外来に出てらしたんですね。私の行ってる病院も救急に出ているお医者さんはそんな思いでやってられるのですね。もっとも、急病センターにまず行くか、私のように懸かっている科がある場合は直接ですけど。う~~ん、大変ですね。

投稿: @むーむー | 2005.06.25 23:15

 救急外来って、以前は救急車のお世話にならなければいけないような重症患者のものだと思っていました。

 47万人ほどの人口を抱える私の居住地でも、休日診療はたった3箇所の当番病院しかありません。しかも外科の医師がいるのはこっち、内科の場合はあっちと振り分けられているため、結局一度でもかかったことのある近所の病院にだめもとで電話してみるといったかかり方になります。
 当然専門外の医師やアルバイトの若い医師に診て頂くこともあるわけで、診察をしていただいたほうも不安が残ります。

 ひげ鯨先生が、正確な診断を下すことに固執してはさばききれないというお気持ちはよく分かります。
 患者側も症状の軽いうちに受診すべきですが、高齢者の場合、なるべくなら行きたくないという気持ちが働いて、なかなか早めの受診というわけに行きません。
 母の場合も何度か年末年始に救急にお世話になってから懲りて、早めに手を打つようになりました(笑)。

投稿: ムンテラ | 2005.06.26 10:22

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