きのうと今日
昨日の夜はベッドに入った時間は0、眠った時間は合計2時間くらい、で朝から外来だったので辛かった。
昨日、早朝に内科に入院中のネフローゼの患者さんが、脳出血、脳室内出血、急性水頭症で危険な状態になったので、脳外科に転科の上、両側脳室ドレナージ術を行った。ネフローゼのため凝固線溶系に異常を来していたためか、脳室内に刺入した柔らかいドレナージチューブの先端はすぐに血腫で詰まった。注射器を使って生理食塩水で洗浄を試みると、赤い血液の塊が引けてきて、注射器をチューブから外すとよく伸びるガムかお餅を引っ張った時みたいに、その血餅はビヨ〜〜ンと伸びた。明らかに普通じゃない事が頭の中で起きている。
何とか助けたかったが、夕方には両側の瞳孔が開き、夜には挿管して人工呼吸器に接続し、深夜にそれまで高かった血圧が下がり始め降圧剤の持続点滴を中止せざるを得なくなり、3時頃から急速に血圧が低下して間もなく徐脈になり、4時過ぎに心臓が停止した。
私よりも若い方であった。小学生の女の子と男の子が涙をこらえながら「おとうさん」と呼びかけているのを、それを見てそれまで毅然と振る舞っていらしたおじいちゃん(患者の父上)が目を押さえているのをみて、私もグッときてしまった。いろいろあって、早朝6時にお見送りした。家に帰ってシャワーを浴び着替えたらもう7時だったのでそのまま起きている。
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今日の外来に、なんと「脳ドック」で発見されたという「聴神経腫瘍」の方が紹介されてきた。どこかで聞いたような話しである。MRIでは、直径3cm以上で脳幹を圧迫し、腫瘍内部は液状袋状で造影される部分が少なく、聴力は既に実用を失っている。ガンマナイフよりも手術治療の適応と思われるが、もう少し検査をしてから何度か患者さんと相談して決めていきたい。でも本日会話した感じでは「ここでできるんですよね?先生にやっていただけるんですよね?」という事であった。液状袋状の腫瘍の場合、顔面神経の同定が問題となる事が多い。十分なICが必要である。
2時過ぎの遅い昼食(兼朝食)をとって医局のレターボックスを見たら、当院で亡くなられた患者さんの奥さんから「無事に納骨が終わりました」との書状が届いていた。なかなか亡くなられた患者さんの家族が医師に手紙などくれる事はないと思うが、この方は律儀な方なのだろう。ありがたいと同時に救ってあげられなかったことを(たとえ医学的には無理な事としても)反省しなければいけないと思った。
明日は地元の脳外科医が集まった小さな勉強会。私がこの半年間に経験した2例の椎骨動脈解離性動脈瘤破裂に対する手術について検討する予定。今までマック使いであったが、DVD videoの映像編集でWindows使いを余儀なくされている。どうもWindows系パソコンの「ださい」デザインがなじめない。
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