退院おめでとう!
今日、明日で4名程退院される。来週も退院が続く(それでも脳外科のベッド稼働率は100%を超えているが)。
元気になって「お世話になりました。ありがとう。」とお辞儀されると気分がいいものだ。
お辞儀が気分を良くするのではなく、お辞儀が出来る位元気になった患者さんから感謝された、という事がうれしい。
そういえば、あの「祭り」と言われた連休直前の週からもう1ヶ月が過ぎた。
立て続けに来られたくも膜下出血の3名のうち、一人は無症状で退院が決まった。一人は、硬膜下に水腫というか、少し脳を圧迫する所見があり、ぼんやりしているのでもう少し入院である。あと一人は、左のシルヴィウス裂を圧迫したためか、temporary clipを20分以上かけていたためか、まだ言葉がたどたどしく言語リハビリをおこなっている。MRIでは小さな虚血巣が散在している(血管攣縮のせいであろう)が運動麻痺も記憶障害もない。言語リハがすすめば自宅退院だ。
V-P shuntをした椎骨動脈解離性脳動脈瘤の患者は、まだ水頭症の症状が改善しない。脳室拡大は改善したが、今度は脳室が小さくなってときどき幻覚のような症状を訴えたり作話的なことがあるので、シャントシステムの圧調整バルブを体外から器械を使って8→10→12→14cmH20とあげてきている。シャントが効きすぎてオーバードレナージになっている恐れもある。予想より回復が遅れていて心配ではある。なんとか水頭症の状態が正常化して欲しい。そうすれば、くも膜下出血は後頭蓋窩だったのでぼけ症状や運動麻痺も後遺症として残らないはずである。多少のふらつき位は残るかもしれないが、元気に独歩自宅退院できるはず。少しくらい時間がかかってもなるだけ早く回復して欲しい。考えてみれば、この方は、救急車で搬入された時は、意識がJCS200-300で血圧が70くらい、呼吸も休止性で、挿管して人工呼吸器につなぎ昇圧剤を使いながらICUで治療したのだった。Hunt & Kosnik grade Vである。よくぞここまで!という感慨もあるが、ここまで来たのならもっとよくなれ!という期待の方が大きい。
もう二頑張りくらいですよ。
Mac使いがWindows使いにならざるを得なかったDVD編集もうまく出来た。D→A変換がないので、ファイルをMPEG圧縮する以外には画質の劣化もなく、とても綺麗に出来た。これからは、手術顕微鏡の映像もずっとDVDで録画していこう(2ヶ月前からやってはいたが、編集はしていなかった、、、)。
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コメント
退院の方がぞくぞくいらっしゃるなんて喜ばしいことですね(^^)v
母の場合も先生方や看護士さん達のお陰で生還できたのは言うまでもありませんが、転院の時私は共に闘った同志のような思いで「次にお目にかかるときまで頑張ります」と申し上げました。
主治医の「何とか自分の病院から自宅退院させてあげたい」というお気持ちが母に伝わり、それに応えるように一生懸命リハビリに取り組みました。
病状が軽快すると、医師も「もっと良くなれ!」という気持ちが強くなるんですね。
話は変わりますが、ひげ鯨先生はMac使いなのですね。私はまだ一部のアーティスト系ユーザーにしか使われていなかった頃Macを使っていたのですが、数年前必要に迫られてWindowsに切り替えました。初めてのWindowsはいかにもビジネスライクで愛嬌のないプラットフォームだなと思ったものです。だからというわけではありませんが、Macを使っていらっしゃる方に出会うと妙に親近感を覚えます。最近出会った医師がどの方もMacを併用していて驚きました。そういえばむか~し仕事で医療用シェアウェアなんてのをやりました。
投稿: ムンテラ | 2005.05.27 15:35
卒業式
持ち上がってきた子たちの晴れ姿に感無量
辛い日苦しい日、いっぱいあったけど
生徒も自分もよく頑張りぬいた
でもそんな日も今日で終わる
嬉しくて、寂しくて、悲しい日
私は落涙してしまいますが、
先生方も患者が退院していった日は
しみじみとした気持ちになられるのでしょうか。
頑張りぬいた自分を振り返って涙されることもあるのでしょうか?
投稿: ふにゃ | 2005.05.27 22:06
ムンテラさん、医師には今でもマック使いが多いですよ。スライド、映像関係のソフトが充実していた事となんと言ってもセンスが良くて、昔からある「Osaka」フォントだとか綺麗なフォントが多かったんです。
最近の若手医師が、学生時代からWindowsを使っていて、「マック?それなんですか?」という感じなので、この辺で世代のギャップを感じますね。
ふにゃさん、患者さんが退院された日はうれしいですけど、しみじみしている余裕はありません。すぐに次の人。今入院している人、明日手術する人、急患に心が奪われてしまいます。患者さんの立場からは悲しいでしょうが、退院された患者さんのことは頭の中から消えていきます。元気な姿で外来に来られると、「ああ、そういえば退院して一か月経ったんですね〜。」という感じなのが実際のところなんです。大袈裟ですがわれわれは毎日可能な限り全力で闘っていますので、頑張り抜いた自分を振り返るなんて事はありません。数ヶ月前に「今年一番!」と思っていた手術より、「こりゃ厳しいな」という手術があると、数ヶ月前のことがよく思い出されないくらいです。忘れるというより、今の目の前の事に集中するため、と思います。
投稿: balaine | 2005.05.29 11:11
そうなんですか!!うわあ悲しい~(笑)
学校の卒業式は、その年度の最大の行事で、どこでも気合を入れて取り組んでいると思いますよ。
こういう式に学校全体で力が注げるというのは
病院よりもずーっと時間の流れがゆっくりしているからでしょう。新しい生徒を迎えるといっても、入試はもう少し後ですから、私たちは感慨深げでいられるんでしょうね。
投稿: ふにゃ | 2005.05.29 12:17
ふにゃさん、いえ、その、私は、です(汗汗)。
患者さんの事は覚えていますよ。でも記憶のハジッコの方に行ってしまいます。だって今目の前に助けるべき患者さんがいるんですから、退院された患者さん事を感慨に耽っている暇はない、と言いたかったんです。
一人一人をとても大事に覚えていらっしゃる素晴らしい先生はたくさんいると思いますよ。私は切り替えが早い方なので、、、(記憶力が悪いとも言えるか、、、)
投稿: balaine | 2005.05.29 13:20
汗かかしてすいません!!
切り替えが早い
先生は仕事が出来る方なんですよ
私もそうでありたいと思うし、そういう人が好きですよ♪
投稿: ふにゃ | 2005.05.29 14:30
うわあ!感激。 先生もそんな頃からのMac使いですか。 Osakaフォント懐かしい!今もMy first Mac捨てられないでいます。私が使い始めた頃、本当にMacなんて誰も知らなくて肩身が狭かった記憶があります。
数年前までMac系のソフトウェアに関する書籍に携わっていました。ドッグイヤーどころか、あっという間にバージョンが進化し、PCと関連本の追いかけっこのような時期で、現在の医学の進歩さながらでした。
毎日全力投球では感慨にふけるゆとりはないかもしれませんね。
やっぱりOut of sight, out of mind.でしょうか。
家族の私でも、一時は自分でも変だと思うほど、主治医に対する依存心が強まっていったのに、今はとても冷静ですから(笑)
投稿: ムンテラ | 2005.05.29 16:11