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2005.05.02

祭りの続き

この文章はアンギオ室で携帯で書いている。
またクモ膜下出血!ICUはこれで患者4名全員脳外科の患者。3名がSAH、一名が小脳出血。さながら脳外科専用ICUの様相を呈している。そして今アンギオ中。これが終わったらオペになる。]

ーー
日付が変わって、5/3の午前1時半。
手術は5/2の19時前に始まり、5/3の0時過ぎに終わった。
左中大脳動脈の分岐部にできた大きめの破裂脳動脈瘤だった。上をまたぐような静脈が邪魔をする上に、動脈瘤の頚部がちょうど90度曲がってターンする中大脳動脈の最初の枝に乗っかったような形をしていて、なかなかきれいにクリップがかからなかった。上手くかかったと思ったら動脈瘤はいいけれど中大脳動脈を狭窄してしまうので、もう一個クリップをdomeよりにかけておいてずらしながら処理した。中大脳動脈の狭窄は解除できたが、今度はneckに少し膨らみが残ってしまう。仕方ないのでここには側頭筋を小さく切って貼付けwrappingを追加した。術後まだ麻酔から覚めていないが手足の動きは左右差はなく、術中temporary clipを20分使用したり一時的に動脈が狭窄した影響はでていないようである。
 ICUとHCUに現在8名入院中で、そのうち6名が脳外科の患者さんである。
 働き過ぎに注意!と言ったって、働きたくてこんなに働いている訳ではない。連休中、少し平和になってほしい。

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コメント

こんばんは!
細かい手術内容まで書いて下さると
まるで、手術室の中にいるような臨場感があって、
脳外科医になった気分。
手術って難しいんだな~!
不器用な私が手術をやったら、後遺症のない人はいないだろうって思っちゃいます。

投稿: mayako | 2005.05.03 20:26

mayakoさん、コメントありがとうございます。
「臨場感」ありますか?
あれでもあまり生々しくないようにあっさり書いているんですよ。現実はもっともっと深刻です。「その場」での決断や処置が一人の人の人生を変えてしまうかもしれないんですよ。私は、常に「この患者さんが自分の親だったら」と考えて行動するようにしているつもりです。

投稿: balaine | 2005.05.06 22:04

もう一度、読みました。
わたしは、mayakoさんのように脳外科医ではなく、患者になった気分です。、
わたしにあるのも左中大動脈瘤。
10ミリではなくて20ミリくらいで予防手術は難しいらしい。
知らないほうがよっかったが、できるかぎり知ってよかったと思う生き方をせねば:::::と
あれもこれもとあせったり、
なにをしても無だから、のんびりしようと思ったりの毎日です。
でも、脳外科医はのんびりとしていられないですね。
どうぞ、たいへんでしょうが、ひとりでも多くの患者さんを救ってくださいね。

投稿: iruka | 2005.05.16 02:27

irukaさん、私も、左中大脳動脈瘤破裂でした。
私の場合、起きた場所、状況、運ばれた病院、全てが運が良かったから、
助かったとも言えますが、
わかっていれば、より、運に頼らず用意することも出来ます。
マア、不安という重荷もありますが…

投稿: mayako | 2005.05.16 17:11

irukaさん、20mmは確かに大きいですから手術も容易ではなくなりますが、手術のポイントは大きさだけではありません。形、回りの血管などいろいろな事を考慮してアプローチします。だから全く後遺症なしで手術が可能な場合も少なくありませんよ。
ところで「血管内治療」の話しは主治医からあったのでしょうか?形によっては血管内治療を選択した方が良いのかもしれません。
まあ、主治医でもないのに、データも手元に無いのに、無責任な事を言ってirukaさんの不安を増大させる事は一番しては行けない事ですね。とにかく主治医の先生ときちんと「何回も」治療についての相談をしてください。手術をせずに経過を見る、というのも「立派な治療」の一つなんですよ。MRIか3d-CTAのフォローアップだけは欠かさないでくださいね。

投稿: balaine | 2005.05.16 18:47

myakoさんの大きさはどのくらいだったのでしょうね。
MRで中大脳動脈瘤の存在がわかったとき、治療方法はクリッピングか血管内治療しかないと言われ、医者用の資料のコピーもいただきました。
それから、図書館やインターネットで検索し、自分なりに調べました。作家やジャーナリストの予防手術の体験を書いた本も読みました。
もちろん、mayakoさんの本も。

投稿: iruka | 2005.05.16 23:29

ひげ鯨先生、私事に応答いただきうれしく思っています。
友人のなかには、みずからもその道で有名な外科医に悪性腫瘍の手術を受けたひとがいて
マスコミで有名なところへついて行ってあげようと言われました。
が、なぜかその気になれませんでした。
でも、このプログを見て、そのわけがわかりました。
主治医の先生は、私よりはるかにくわしく、真剣に私の脳のなかのことを考えてくださっていると信じられるからですね。
診察では何回も聞けない私ですが、ひげ鯨先生のおかげで、私は、主治医より無駄なく正確な情報を得ていると確信できました。
ありがとうございました。

投稿: iruka | 2005.05.17 00:22

irukaさん 私の脳動脈瘤の大きさはわかりません。
今度病院に行ったとき聞いてみますね。
本も読んで下さったとは嬉しい限り。
ありがとう!(^_-)

投稿: mayako | 2005.05.18 00:12

irukaさん、私の破裂した動脈瘤は6㎜くらいだったそうです。
今日又、1㎜の脳動脈瘤が出来ていると言われてしまいました。
Myブログ「最初はSAH]に書きました。
ひげ鯨先生は、くも膜下出血の再発についてはどうお考えですか?

投稿: mayako | 2005.05.26 21:25

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