「脳外科祭り」ですね!
ICUの看護師に言われた。
別に目出度い「お祭り」ではない。
先週末から連日の急患、緊急入院、緊急手術。現時点で満床が8床のICUの5床が脳外科の患者さん。本当は12床あるけれどコントロールして満床を8にしているHCUのうち3床が脳外科。昨日も緊急入院が3名ありICU, HCUにはいれないので一般病棟に入院した。今朝も脳出血の緊急入院があり、HCUにはいれないため、そこまで重症ではないが一般病棟の6人部屋しか空いていなかったのでICUに入院した。
土曜日からの6日間に緊急入院した患者さんの病名を順に列記すると、
脳梗塞、くも膜下出血、脳出血、小脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、慢性硬膜下出血、脳出血、脳腫瘍、脳腫瘍、脳出血、という具合である。このうち、4人に緊急手術をした。手術にはならなかった重症の脳梗塞の患者が一人お亡くなりになった。毎日のように、ICU/HCUに入院があり手術患者があるので、ICUの看護婦さんが驚きと慰めと労いと呆れた感情を交えて表現したのが、タイトルの言葉である。
すでに書いたように「疲れた」などというレベルではない。「いい加減にして!」と正直思う。しかしこれは自分の仕事である。偉い!と思われる必要は無い。当たり前の事である。
今日は、朝から外来。これがいつもより混んだ。来週が連休で木曜の私の外来が無いからだ。更に、開業医から精査依頼などの紹介が3件、大学病院から慢性期治療のための紹介が1件、院内他科からの紹介が1件、その他フリーが1件と6件の新患があり、MRIなどの検査の説明、紹介状への返事などなど多忙を極めた。朝の9時から30秒も休みを取らずず〜っと働き詰めで外来が終わったのは13:45であった。今日の手術の手術室入室予定は13:30だったので、13時の時点で間に合わないので「13:45に変更してください」と連絡しておいた。もう一人の先生に手術室に走ってもらい、執刀医の私は昼食を穫った。
食欲が戻ったので多分「ニンニクたっぷりパスタ」が効いたのだと思う。1355手術室へ。今日の手術は大きな傍矢状洞〜大脳鎌髄膜腫の再発例。腹臥位(うつぶせ)での長時間手術となる。手術の予定時間は8時間以上(もしかすると10時間)と思っていたが、開頭が意外とスムーズに言った事、腫瘍が浸潤した矢状洞を計画通りに切除したところ、大脳鎌の腫瘍がほとんど脳を圧迫しなくて取れた事、その他予測外のトラブルがなかったことなどで6時間50分で終了した。患者さんは麻酔の覚めも良好である。術前から足に強い右手足の運動麻痺と軽い頭頂葉症状があった。術後もまだ右の運動麻痺は認めるが術前よりも良くなっていた。大成功、といって良いと思う。
今週は、緊急手術4件、予定手術1件。4日間で5件、計およそ25万点(=250万円)の手術料である。これを高いと思うか安いと思うかは立場によって違うと思うが、私から見ると「あれだけ働いて全部でたった250万か〜」と思う。米国の制度なら、多分全部で3000万円くらいになっているはずである。
世の中は明日から連休。10連休の人もいるのだろう。あまりに悲惨な事故なので今まであえて触れたくなかったが、あのJR福知山線の大事故。連休を楽しみにしていた人もたくさんいただろう。私が、どんなに忙しくて辛くて眠くて空腹でイライラして肩が凝ってからだが痛くてフルートが吹けなくても、あの悲惨な事故に巻き込まれた方々の前では「屁でもない」ことである。
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