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2005.03.20

日直終わります。

 当院では、日直と当直は、外科系医師一名と内科系医師一名の二名体制で行っている。忙しい時や緊急時には二人(以上)で救急外来を担当するのだが、普段は前半と後半にわけて分担している。
 前にも書いたように、日直医や当直医というのは時間外外来や救急外来をやるために病院に詰めている訳ではない。本来の仕事は、休日や夜間の病院内の医療的急変に対応するためにいるので、何もない時は寝ていてもいいし漫画を読んでいてもいいのである。
 しかし、当院クラスの救急外来という名の時間外外来を持つ、地域の中核的救急指定病院では、日直医、当直医の仕事のほとんどは「救急外来」「時間外外来」である。今日も、朝から何人のインフルエンザの患者を診ただろうか。5日前に他医でインフルエンザ陰性と言われた人でも、高熱が出ているので調べると陽性であった。午前中だけで20人はインフルエンザ陽性患者が来た。インフルエンザ以外に、通常の流行性感冒の人も多かった。その中には、もちろん昨夜から今日にかけて症状のでた人や高熱のでた人が多いのであるが、中には2日前、3日前から症状のある人もいる。なぜ平日の時間内に病院に来ないのだろうか。来れないのだろうか。来れない人もいるであろう。しかし、中には「来れるけどこなかった。我慢していた。で結局我慢できなくなった。明日も休日なので明後日まで待てない。」という感じの人も見受ける。そういう人だって「医療サービス」を求めているのだ。医療従事者としては当然診察し治療を行わなければならない。拒否はできない。しかし心情的には、「金曜日に来たらいいんじゃないか」とか「明後日までまてばいいじゃない?」と疑問に思う人も少なからずいる。消化器症状はないのだが、「食欲がなく体力が落ちるとインフルエンザにかかるといけないので点滴して」という人も来る。倒れたらどうしようか、と不安なのだそうである。そういう人にはどうするのか。点滴をしてあげる。そして精神安定剤を処方してやんわりと「これからもいつもそういう気持ちになるなら」精神神経科受診を勧める。
 時間「外」外来は、時間「内」に来れなかった患者さんの為にあるのではなく、急に発症した、怪我した、急変したという人たちのためにあるのだがそうもいっていられないらしい。でも、時間外の診療は通常の診療よりも検査料などが高いことを知っているのだろうか?薬の値段は同じはずであるが、検査手技、診断手技、治療手技は時間外加算が行われる。これも「保険診療」なので自己負担3割として、残りの7割は我々全国民が毎月のように払っている国民健康保険、社会保険料から支払い基金を通して支払われるのである。つまり真の意味の急患は当然仕方のないこととして、時間内に受診できる可能性のある時間外外来患者さんの医療費も我々が分担しているのである。

 健康保険の支払いは厳密には税金ではないのであるが税金のような性格を帯びている。税金といえば、今年度の本県の除雪費が45億円に上る見込みで、予算を大きく上回っており補正予算を組むというニュースが流れていた。これも我々の税金である。雪は、放っておけば溶けるのだが放っておくと事故が増えたり家がつぶれたり怪我人がでたりするので除雪せざるを得ないのであろう。除雪活動で助かっている点は確かにある。感謝はする。
 しかし、本当に無駄なく使用して43億とか45億なのであろうか。どこかで無駄になっているにおいがぷんぷんするのだが、これは私の勝手な解釈、思い過ごしであろう。か、、、

ま、とにかく日直も無事に終わるので、もうすぐお家に帰ってのんびりしよう(のんびりできればいいな〜、まだ当番であることには変わりないので)。

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コメント

はじめまして。1月半ばから脳外科にお世話になっている患者です。詳しくはmy blogに書いております。そもそもblogを作ろう!と思ったきっかけはbalainさんのblogを見つけたからです。こんなに精力的に、こんなに誠心誠意、命を助けておられることを拝読して感動しました。私も病気と闘います!リンクを貼らせていただいてもよろしいですか?

投稿: shangri-la | 2005.03.22 22:04

先ほどオペから戻りました。リンク、よろしくお願いします。
「誠心誠意」などと評されると少し困惑します。確かに自分なりに一生懸命やってはいますが、一方ではかなり気分屋なところがあり、患者さんや看護師さんたちを傷つけています。手術の肝心なところで必要とされる冷静さ、集中力というのは別のところで何かはけ口を作らないと自分の心が壊れそうになるくらい怖いものなんです。

投稿: balaine | 2005.03.22 22:18

すばやい返信ですね、ありがとうございます。なるほど、なるほど。blogでは医療に携わる方が多く書かれていて、こういう発信によってバランスをとられているのだろうと感じておりました。みなさん内容濃く、真剣に命と闘っているお姿が推察できる反面、感情ある人間としていつも同じテンションでいられない時もあるのでしょうね。balaineさんはとても正直な医師であられますね。医師と患者は決して対極にあるものではないという意識で臨んでいます。

投稿: shangri-la | 2005.03.23 11:37

shangri-laさん、お返事ありがとうございます。
医師と患者は、もちろん対極にある訳ではありません。同じ方向を向いて歩いているものと思います。

投稿: balaine | 2005.03.23 12:35

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