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2005.02.10

貴方は何科向き?

「医療系blog」では有名らしい(医療系blogなんて言葉自体も最近知ったばかりなので)『女医ななこのひとりごと』(http://www.doblog.com/weblog/myblog/11576)にお邪魔した。昨日2/9の記事に面白いものがあったので、私も遊んでみた。
「医らっしゃーーい!!」というサイト(http://www6.plala.or.jp/doct/home/home.html)で提供しているお遊び、「臓器占い」と「貴方は何科向き?」である。
「臓器占い」は生年月日を入れるだけだから、占ってどういう意味があるのかわからないが、私は「眼球」だった。「脳だったらどうしよう?」と思っていたのでホッとしたような。
「何科向き」はいくつかの質問にYes, Noで答えるもの。いくつの臨床科(基礎系もあるのかどうか知らない)が対象になっているのかわからないが、臨床医学はおおよそ16〜20の科に細分される。

私の結果は、、、、な、なんと!「脳神経外科」!
その内容(解説)は、
『貴方は、上昇志向が人一倍強く、上へ上へ昇ろうという強い気概を持った人です。
また、特定のモノに固執しないまでも、心の中に何かしら芯となるモノをもっている、
貴方はそんな人です。
そんな貴方には、脳神経外科がお勧めです。
脳神経外科は、その名の通り、頭の中身を手術する専門家です。
最近の医学の流れとして、脳血管疾患、
痴呆に対する注目が高まりつつある為、
研究分野としても将来有望なものがあります。
一昔前までは、「医学部の中でも頭のいい奴が脳外に行く」と
言われていました。
しかしながら、最近は「学問として難しすぎる」、
「仕事が辛すぎる」、「手術が細かすぎる」などの理由から、
医学生の間では、入局希望者はあまり多くありません。』

ま〜当たってるんだろう。脳の研究は「将来有望」とかいう下世話なレベルではなく、人が人を知るために今後益々進歩しかつ発展させなければならない。生命科学以外の分野、たとえばコンピュータサイエンスとか機械工学とかにも応用されていくものである。最後の3行については、頷きもするが首もかしげる。
「学問として難しすぎる」
脳外や神経といっただけで拒否反応を起こす医学生、看護学生、医師、看護師もいる。確かに不思議な世界を醸し出す「脳・神経系」。でも興味ある僕にとっては、医学生時代、脳の解剖など面白くて仕方なかったし(多分神経解剖の試験は満点だった)、神経系の名称なんてスラスラ言えた。その一方であまり興味のなかった整形外科などは骨や関節の名前も覚えるのが苦手であったし、糖尿病の病態生理などもあまり勉強する気になれず自分には「難しい」と感じた。養老氏の指摘された「バカの壁」そのものである。興味がある人には、神経系はとても面白い。まるでシャーロック・ホームズなどの探偵物を読むように、ある症状から原因部位を推理して鑑別診断(可能性のあるものをあげてその中から真犯人を探し出すような作業)をするのが面白い。
「仕事が辛すぎる」
これは、ある程度仕方がない。「人が人たる所以の臓器」である脳を扱うのだから、指導医、上級医からの指導も厳しいのは当然。脳卒中は夜中だろうが休日だろうが発生するし脳深部の大きな脳腫瘍などは摘出手術に10時間とかかかる。米国の脳外科レジデントなどはその生活を自ら嘲笑するように「一日平均睡眠時間4時間、一日一食」と言っていた。日本の方がもうちょっと楽なように思う。ただ、米国では数年前の調査で医学部卒業後なりたい専門医の第2位が脳神経外科であった。なぜなら仕事がかっこ良くて専門性が高く「収入」がいいからである。日本では「収入」を追求するなら脳外は目指さない方がいい。医師をしていて「辛くない」科があるのかどうか私にはわからない。ただ明らかに脳外科よりは楽そうな科があるのは事実だ。午前中から医局のソファで新聞を読んだり、夕方になるとテレビを見たり、5時過ぎるとさっさと帰ったり、明日からのように連休が入ると前後の外来をお休みにして4、5日休みをとっている医師もいるのだ。夜間や休日の「その科」の当番医になって(その科の医師が二人ならば月半分を分担した場合)、脳外科医である私は21年目ではあるが、当番日はほぼ毎晩のように電話やポケベルがなり、当番日の2回に一回は夜中や休日に救急外来に急患を診に来たり重症者をICUに診に来たりしている。一方、一年を通して、夜中や休日に呼ばれる事が何回あるのか、指を折って数えられるくらいの科もあるし、私より年下でも「その科」に医師が5人以上いて、元気のいいもっと若い医者がいるので、当番は月に3日くらいしかしていない先生もいる。ほぼ毎月の半分を当番している私とは大違い。ま、脳外科は確かに辛いけれど「すぎる」かどうかは、仕事の達成感、満足度にもよるだろう。
「手術が細かすぎる」
これについては???である。細かくなければ脳外ではないから。脳の血管を吻合する縫合糸は10-0といって赤ちゃんの髪の毛よりも細く、フッと息をかけると飛んでいって見えなくなるくらい繊細である。くも膜下出血の原因の脳動脈瘤は稀に巨大な物もあるが、通常は直径3,4 mmからせいぜい10mmくらいである。そこにブレードの長さが数mmから10数mmのクリップをかけるが、その周りにある100ミクロンとか200ミクロンの太さの血管を剥離(くっついているところをはがして挟み込まないようにすること)したりするものである。
こういった細かい事がしたいから、好きだから、興味があるから、脳外科医になろうと思った人たちが多い訳である。細かい事が苦手または嫌いならば最初から脳神経外科には向かない。何科とは言わないが、もう少しアバウトな科を目指せばいいと思う。

と言う訳で、「脳神経外科」に否定的な意見の反論になったかどうか、「遠吠え」にすぎないかもしれない。今、医学部の6年生だったら「脳神経外科」を目指すか?と聞かれるとちょっとためらうが、選択枝の中に入る事は間違いないだろう。

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コメント

あの、多分有名ではないと思います、私。結構前からやってるからだけだと・・・。
先生はなるべくして脳神経外科にいかれたのですね。やはり、興味のある科にいくのが、一番いいと思うのです。
私も、周りの友達には整形なんて体力いるし、筋肉とかの名前覚えるの大変じゃないとかいわれつつもやっぱり整形外科がやりたくて入局してしまいました。
脳外科の先生にはいつもお世話になっています。私の周りには脳外科の女医さんも多いですよ。きめ細かな手術とか女性も向いていそうだなと思ったりもします。
TBありがとうございました。

投稿: nanako | 2005.02.10 16:53

おお!nanako先生だ〜!
なんか、nanako先生、っていう響きがいいですね。別に松嶋菜々子とか大河内奈々子(薔薇と牡丹)とかが浮かぶ訳ではないのですが、何故か細身で颯爽としたイメージが勝手に湧いて来て、、、(^^;;;
これからもどうぞよろしく!

投稿: balaine | 2005.02.10 17:46

医師ではありませんが、臓器占いやってきました。なんと!「胆嚢」でした。なんかよくわからないけど面白いですね。
そして、何科むきかというのは、「整形外科」でした~!楽しかった(^^)

投稿: ガルボ | 2005.02.11 00:06

ガルボさん、
「胆嚢」ねぇ〜。胆汁を分泌して脂を消化吸収するのに陰ながら働いている臓器ですが、胆石が出来た手術する事になったり、胆嚢炎になると摘出されてしまいますね〜。
「整形外科」ということはnanako先生と同じですね。

投稿: balaine | 2005.02.11 09:58

そうなのです。
胆嚢の機能については考えたくなかったのさ・・・ちょっと寂しい感じですものね。シクシク。

投稿: ガルボ | 2005.02.11 21:12

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