ムンテラ
愚痴を書く。
「ムンテラ」というのは日本語である。元はMund Therapyというドイツ語なのであるが、直訳すると「口の治療」となる。患者さんや家族に病状や診断、治療、今後のことなどを説明することを医学界では長い間の悪習で「ムンテラする」と表現していた。今ではIC=informed consent、直訳すると「情報を与えられた同意」となる。「十分な説明に基づく了解、同意」などとも訳されるが、ムンテラのような語感の良さや簡潔さがない。
「あの患者さんからはICを取りました」という感じに使うことになる。
本日土曜日、ICU, HCUと3つの病棟を一人で回診し、アポイントのあった3家族および今日急に希望のあった2家族、計5家族に「ムンテラ」した。話しをする、それだけで2時間はかかる「仕事」である。
だから朝9時から働いていて現在午後2時半になったが、昼食はもちろん水も飲まず一分も休まず働いていた。倒れそうである。と思っていたら、急患がきた、と救急外来から呼び出しがかかった!
は〜、行って来ます!
・・・
ただいま!今、夕方の4時すぎました。
あの後、脳梗塞の患者さん、幸い軽症で麻痺もほとんどない人を入院させました。点滴の指示を出していたら、また救急外来からコールあり、「意識のない人が来院した。心房細動もあるし脳梗塞らしい」と。
CTとり、MRIとって、Af(心房細動)による脳塞栓症で強い右麻痺と全失語状態。HCUに入院としました。あの長嶋茂雄さんと全く同じ「心源性塞栓症による脳梗塞」です。
結局、朝に食パン一枚と牛乳コップ一杯以降、何も口にしておらずさっき缶ジュースを飲みました。医局に戻ったら、先日のバレンタインデーに患者さん(60代と70代の女性)とICUなどの看護師さんからもらったチョコレートがあるのに気付きました。普段、チョコなんてほとんど口にしませんがいただきました。美味しいです!ありがとうございます!雪山で遭難しかかってチョコを口にしてほっとしている気分です。トリュフタイプのチョコを一度に6つも食べてしまいました。鼻血出るかも、、、、(^^;;;;
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コメント
お疲れさまです。
「ムンテラ」で検索してたら、たまたまこちらのブログにあたり読ませて頂きました。
新米ケアマネです。
来週、退院後在宅復帰予定の利用者様のムンテラとやらに同席させてもらうことになりまして。
介護保険の主治医意見書を2週間以上出してもらってなかった脳外科の主治医にちょっと腹を立ててたんですが、ブログ読んで忙しいんだなと納得しました(^-^)
投稿: みわ | 2007.10.01 22:29
みわさん、古い記事にコメントありがとうございます。
もう2年半以上前にこんな事書いていたんだな〜と我ながら変な感慨があります。
介護認定の診断書、大切なんですけど、本当にたくさんたくさん来るんです。一人の患者さんに半年に1回は最低来ますし、介護保険が変わると書き換える必要があります。うんざりする程たくさん来るのに、これが仕事の一つとはいえ、診断書書いても一円ももらえないのが日本の医師の悲しい現実です。
重要なのは周りの理解と愛ですよ。
「先生、早く書いてね!♡」
って笑顔でお願いして下さいね〜。
投稿: balaine | 2007.10.01 23:11
相当以前にムンテラで検索してこのページにたどり着いた覚えがある保険の調査員です。
きょう久々にまたヒットしたところ、2年間隔で書き込みがあるという壮大な状況に遭遇し、見当識障害を覚えそうな感動に胸震わせています。
きょうは、諸般の事情から救命救急の暫定主治医から、患者家族の立場でムンテラを受けました。
ひげ鯨先生の気持は痛すぎるくらいに理解できます。
自身もいろいろな調査の必要から、ほとんどすべての標榜科の先生に面談や診断書とか文書照会などをお願いする中で、この先生いつご飯食べてるんだろうかとか心配になることが多々あります。
それでもこちらも仕事なので時間を作っていただくのですが、本当に頭が下がります。
どうか息切れしないよう、上手にコントロールして頑張ってください。
患者自身はもちろんのこと、家族も先生だけが最後の砦なんですから。
投稿: ざわわ | 2009.03.09 23:49
ざわわ様、私は「息切れ」してしまったようで、病院勤務脳外科医は辞めてしまいました。
今は、当直も、夜中の呼び出しも、日曜日の緊急手術も、クリスマスの夜の長時間手術も、お正月の回診も、早朝の病棟呼び出しも、死亡退院のお見送りもまったくなく、また1週間であっという間に溜まってしまった介護保険意見書や交通事故保険診断書などの書類に追われる事のない生活を送っております。
個人事業を軌道に乗せるのは大変で多額の借金に追われていますが、「人間らしい」生活を送っております。
一生懸命働いて多くの人の命を助けても、ちょっとしたことで病院中枢部からは文句を言われ患者や患者家族からは非難されめげる事が少なくありませんでした。実は勤務医が病院を辞めて行く多くの原因は、仕事の内容の割に収入が低いとか殺人的に多忙だということではなく、厳しさに耐えて頑張っている事に対する病院や世間の評価が余りにも低い事によるのだと私は思っています。人間にとってやはり大事なのは「こころ」です。
投稿: balaine | 2009.03.10 14:05
「こころ」 そうですね。
今サラリーマンをしていますが、景気低迷での様々な対応に嫌気を強くしています。
決して逃げではありませんが、やはり「こころ」に大きな問題があると感じていました。
大事なのは「こころ」 「こころ」を失わないようにします。
ありがとうございました♪
投稿: KEN | 2009.03.12 00:58
KENさん、古い記事へのコメントありがとうございます。
映画「おくりびと」はその「こころ」が世界に受け入れられたのですよね。
投稿: balaine | 2009.03.13 18:46
ムンテラという言葉を使うのは良くないんだ、と若い医師や看護師さんたちは教育されているみたいですね。
でも私はインフォームドコンセントとかICという言葉よりもムンテラの方が好きです。
何といっても「口で治す」というワザが素晴しいですよ。 最近、ようやく私も少しは習得できたかな、という気がします。 そして、外来診療が楽しいと感じるようになってきました。
投稿: ナオタカ | 2009.03.15 01:21
ナオタカさん、
「ムンテラ」って、何だか口八丁的に使われてましたよね。要するに、技術もろくにないのに口だけで丸め込むような、悪いイメージがあります。
でも、「患者さんの心に寄り添う」とか言っている現代医療において、大切なのはコミュニケーション。いかに相手に理解してもらえるように「上手に」説明できるか。
難しい話を分かりやすくして理解を促すか、こちらの言いたい事をどれだけ「正確に」理解して頂くか、そういう勝負になっています。
そういう意味で「ムンテラ」のテクニックというのは医師にとってもの凄く大切な物だと思っています。
投稿: balaine | 2009.03.15 18:50
認知症の母を入院させています
ケヤマネさんから
○●病院のムンレラについて
なんてタイトルのメールをもらって、何??
ムンテラ
と言う言葉らしいらしいことがわかたっても一般人には認知度無いです
言葉できちんと説明していただくことは大変ありがたいのですが、
ごまかして欲しくないですね!
投稿: オークン | 2010.06.03 00:14
It is good that we can get the loans moreover, that opens up new possibilities.
投稿: Glenna18Combs | 2012.07.31 08:54