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2005.01.12

脳動脈瘤手術終了

ope2昨日記載した多発脳動脈瘤の患者さんに、午前中3d-CTAを行った。これはCT画像のデータをワークステーションに転送して、画像のグレースケールの濃淡の閾値を設定する事によって脳を消し骨と血管だけを描出し、それを3次元グラフィックにしていろいろな方向から回転させてみるものである。昔は特殊な病院にしかなかったが、いまや脳神経外科のある大きな病院なら、ほぼどこにでもあると思われる。
 3d-CTAによって、やはり3つの脳動脈瘤のうち、破れたのは椎骨動脈瘤だと思われた。
 午後1時半に手術室に入室。
 手術顕微鏡のセッティング。患者さんに麻酔がかかり、体位をとる。左の耳の後ろを切って後頭部の下の方から手術をするため、患者さんは「右下側臥位」といって体の右側を下にベンチに横になったような体の位置で、顔を少し下向きにさせて左の耳の後ろが一番高い位置になるように固定。
 消毒などを行って2時半少し前に手術は始まった。
 まず側脳室といって脳脊髄液を作りためておく部屋に細く柔らかいチューブを挿入して脳脊髄液を抜き取る「ドレナージ」という手術を、左前頭部に行った。5cmぐらいの傷で18分で終わった。
 続いて本格的に脳動脈瘤へのアプローチ。左耳の後ろを首筋方向へ斜めに12cmほど切開。筋肉を切り骨を専用の機械であけ、脳を包む硬膜をメスで切って手術顕微鏡を導入。術野を実際の大きさの10〜20倍くらいに拡大しながら、慎重に慎重に脳、神経、血管を出し奥深くほとんど左の耳からは6cmくらい奥で脳の正中までもう少しというところまで進んで、目標である「左椎骨動脈ー左後下小脳動脈分岐部破裂脳動脈瘤」を発見。周囲から剥離し絡んだ細い神経をはがし、椎骨動脈を狭窄(細くしてしまう事)しないように注意深くチタン製でブレードの長さ6mmの脳動脈瘤用クリップをかけ、手術は無事終了した。
 もしかしたらここが破裂した場所ではないのかも?という不安は少しはあったが、固く濃い血腫(血液の固まったような赤黒い糊状のもの)があったのでホッとした。手術終了は9時少し前。ICUに戻り術後の処置をして点滴などの指示を出しほっとしてパソコンに向かったのは今、夜の10時である。
 食事はお昼1230頃に定食を職員食堂でとった。それから水も何も口にしていないので、今自動販売機から缶コーヒーを買ってきて飲みながらこれを書いている。
 病院勤務の脳神経外科医の一日とは、このようなものである。
 

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