こころとからだ
『病は気から』
という言葉があるが、これはある意味真理である。
気持ちだけではどうにも出来ない病気もたくさんあるけれど、病気の重さや身体のつらさ、症状の回復に人の気持ちが大切なことは、医師をしていてよく理解しているつもりである。
脳卒中のような病気はなってしまうと、気持ちだけではどうにもならない面も確かにある。が、回復するぞ!という気持ちは大切である。その気持ちの持ち方には個人差がある。「XXをやらなければいけないから頑張るぞ」とか「子供のために」「孫のために」「元気になりたい!」という気持ち、これが必要である。
人間はなかなか一人でいられない動物らしく、自分が誰かから必要とされている、という気持ちはいろんなことを遂行する上での大きなmotivationになる。
たとえば、何か気持ちが塞ぐような出来事にあうとmotivationは下がる。元気がなくなる。自信がなくなる。
そう言ったときには風邪をひきやすいものである。どこか身体の不調があるときにも人は元気がなくなる。
そうすると身体の免疫機能が低下して風邪をひいたり、ひいた風邪が治りにくくなったりする。
そう言うときにはまず寝る。睡眠は免疫力を回復させる。これは脳の中の視床下部ー下垂体系が身体の不調を整え回復させようと自ら活発に働くことによる。睡眠、そして栄養。加えて大事なのは「こころ」。よくなりたい、元気になりたい、必要とされているから頑張らなきゃ、という心が大切。
まさに「病は気から」なのである。
頑張れ!
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コメント
昨年 私の父(65歳)も小脳出血で倒れました。二ヶ月ほどで退院。父は気が小さく それも手伝って 自分の考えが通らないと ヒステリーを起こし、物を投げたり怒鳴ります。小脳は感情のコントロールもするのですか?この性格は 以前からの物ですが、病気になってからはさらにひどく 母も対応に疲れています。自営業の為、働くパートさんにも同じ態度で困ります。かといって、父だけ隔離する分けにもいかず。これからはなんとか気長に付き合うしかないようです。
投稿: 友つま | 2009.03.17 01:10
友つまさん、小脳は運動の「巧緻性」に関わる脳で、練習すると上手になる、繰り返すと目をつぶっていてもできる、というような能力は小脳系が大きく関与しています。
「感情のコントロール」は大脳の前頭葉や側頭葉、大脳辺縁系が関わっているので、小脳出血と怒りやすいと言うのは直接には関係ないでしょう。
ただ、「力は入るのに思うように動かせない」「昔でいていた事がうまく出来ない」という後遺症が残る訳ですから、イライラしやすくなるのだと思います。
小脳の障害は「酔っぱらい」を想像すれば分かりやすいです。上手く喋れない、まっすぐ歩けない、上手に動けない、まさに「飲酒運転」が禁止されている理由です。
もともと不安症やヒステリー傾向があるのなら、主治医に相談して精神安定剤や抗うつ薬などを少し試してもらってはどうでしょうか。私なら(患者さん次第ですが)、そういう精神面のコントロールも考えます。
投稿: balaine | 2009.03.17 08:45