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2005.01.24

稼ぎと仕事

医者が一番触れたがらない、または触れては行けない、「稼ぎ」の話しを簡単に。
我々の仕事は、患者サービス。社会に奉仕する仕事であるから、『働いた時間 X 時給=賃金』という計算をしてはならないらしい。「労働者」ではない、という人もいる(しかし法解釈上、研修医は労働者、と認定されて激務で死亡した研修医は労災と認められている)。
ある意味、私はその考え(医者は労働者ではない)に賛成する。
Noblesse oblige(ご指摘頂きスペル直しました!)、ノブリス・オブリージュという言葉がある。
直訳すれば「高貴な人々の背負う義務」ということになる。貴族が、華麗な生活を保障されるとともに、いざ事が起きれば戦場に赴き王のために戦う、国のために命を賭ける、民のための慈善事業を無償で行うなど、ある階級の人に「当然のように」要求される義務、使命のことである。
医師が高貴だ、とい言いたいのではない。ただ、医師は、自ずから高い理想、使命感を持っていることが望ましく、決して「金を儲けたいから開業しよう!」などという魂胆を持っていてはいけないのである。

しかし、逆に人の仕事を何で評価するのか、と言う話しになると、やはり報酬、賃金、給与と言う事になるであろう。特に専門的知識を持ち、専門的特殊技術も持ち、普段から勉強もし自己投資のように本を買い学会に参加している医師に、同年代の普通の会社員よりも高い給与が与えられてもおかしくないと思う。しかし、現実には高校などで同じくらいの成績で優秀だった奴らが、医学部ではなくあるレベルの大学に進学しいい企業や金融関係に勤務して今の私と同じ年だとすれば、向こうの方が給与は良い。笑い話がある。医学部を出たAと高校で同級だった銀行員Bと大企業の営業のCが同窓会の後に一緒に飲んで、当然のように勤務医のAが支払った。次の店で月給を聞いたらAが一番低かった、と言う話しである。
我々が「稼ぎ」で彼らに近づくのは、いわゆる「時間外労働」によってである。
この時間外労働は、すなわち夜中の急患、日曜日の回診、深夜に及ぶ手術、深夜に急変した入院患者の治療、早朝の死亡退院、などといった、普通の人が寝ていたりご飯を食べていたりお風呂に入っていたり家族で買い物に行ったり彼女とドライブしたりしている時間に働いている事に対する報酬である。
専門的知識と技術を持った者がそういう時間に働いて、「時間外手当」を貰う事を「駄目だ!」という人たちがいるのである。いわく「貰い過ぎだ」「予算がないから削る」「他の職員と差がありすぎる」、、、

な〜に言ってんだか!である。
じゃあ、夜中の2時に呼ばれてすぐに目を覚ましてパジャマを服に着替えて病院に出てきて患者を診察してみろ!明け方5時に呼ばれて、危篤の患者に蘇生術を施し力及ばず死亡宣告をして死亡診断書を書きお見送りしてみろ!昼間っから、食事も水も摂らず、夜の22時や24時まで手術してさらに術後指示を出してみろ!しかもこうやって働いても、次の日はカレンダー通りで朝から外来があるんだぞ、回診があるんだぞ。(って、愚痴をいいすぎですか?本当はまだ足らないが、、、)

今、私の時間外手当は、月によって違うのだが(病院全体の予算を医師の働いた時間などで均等に割るため)40〜60%もカットされているらしい。らしい、というのは「そうなっている」ということを事務職員から聞いたのだが、具体的に今月どのくらいカットされたのかは全く知らされないからだ。
これを「酷い話しだ!」と思うのは、当事者である我々だけなのかもしれない。
一般人の常識からは、「そんな賃金カットとかサービス残業なんで、我々の世界では当たり前だ!」と言われるかもしれない。でも"High Risk, High Return"という言葉があるように、高い教育、高度の技術を身につけ自分の身を危険にさらし(長時間連続勤務や深夜の勤務で翌日休みなし)ている者に、高い報酬を求めるのは間違っているのだろうか、、、「高い」といっても、先に述べたように「いい企業」につとめている同世代のエリートと同じくらいの給料、と言う事である。
現実はどんどん減らす、という方向にしか進まないようである。
(ああ、愚痴をいいすぎた。波紋を呼ばなければよいが、、、)

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コメント

ノブリス・オブリージュ。
この言葉を使ッているなら、原語綴りぐらい
まともに書いて欲しい。
高貴とか判っているのだから、当然のことに
nobleから発しているのは大学を出ているはず
だから普通判るでしょう。
しかも発音から類推してフランス語。
フランス語の発音なんて簡単なんだから
ノブリス・オブリージュというカタカナから
フランス語の綴りなんて簡単にわかるでしょうが。
この程度の言語知識しかないなんてね。
もっと勉強したほうがいいよ。

投稿: masayan | 2005.01.24 18:24

スペルなんぞいちいち細かい事を指摘しちゃって・・お金と暇があって仕方がないのですね、ヲヂサマ(^^) 私のホームページの綴りもチェックしていただけませんか?(笑)

投稿: 恵太 | 2005.01.24 19:55

balaineさん、はじめまして。
kuuさんの所から、遊びにきました。
たまと申します。

フルートのお話につられて遊びにきてしまいました。
音楽はいいですよねぇ・・
。わたしはしがないブラバンでのクラリネット吹きでしたが・・体が音楽のうねりに乗るときの楽しさは
・・ほんとにすてきですよね。

ノブリス・オブリージュ。
わー、そういう意味なんですか。
勉強になりました。知らない事ってたくさんあるなぁ・・。
知識の海はとてつもなく深いもんですなぁ・・。

私は元看護師で、いまちょっと復帰したんですが、
労働条件は・・DRのほうが厳しいですねぇ。・・。
仲の良かった大学病院でのDR達の、低い初任給や
きびしい労働条件は・・みていてなんとかならないものかなぁ・・と思っていました。

せめて、厳しいオンを乗り切るための
ゆったりとしたオフがすごせるくらいの人的余裕が
あれば・・いいのになぁとおもいマス。
どの業界もそうなのでしょうけど・・それでもDR達の任務の重さを思うと、なおさらです。
自分もつい先日患者としてオペしたのですが、
入院した先のDR,NSの優しさが身にしみました。
今も夜勤を頑張ってる人たちのことを想うと
「あいがとう」ってやっぱり言いたく
なりますねぇ・・。それではまた~。

投稿: たま | 2005.01.24 20:11

masayanさん、コメントとご教示ありがたくちょうだいいたしました!(^^)
こういう事書く人いるかな?って思ったらやっぱりいるんですね〜。(^^)
"noblesse"でしょ?obligeの綴りが正しいところから想像できないでしょうかね?仕掛け。ま、書いている時にスペルが怪しかったのは事実でnobleseeと覚えてたんですが。
わたくし、貴族のいないアメリカにしか住んだ事ないもので。満点目指したTOEICも910点しかとれなかったもので。
ははは、かなり嫌みですかね、、、

ご指導頂いたように「勉強」は今後もちゃんとしますよ。どうぞ御心配なく。v(^^)

投稿: balaine | 2005.01.25 12:27

たまさん、暖かいコメント、ありがとうございます。
たまさんってもしかして喘息持ち?
いえ、メルアドからそんな事を想像してしまいました。今後ともよろしく!

恵太殿、やっぱり「けいた」って打ってもこの変換は出てこないっすよ。「ヲジサマ」ってmasayanさんに言ってるんですよね?私は「おじさま」ではないし、、、ハハハ。

投稿: balaine | 2005.01.25 12:30

balaineさん。はじめまして。専門家の率直な意見楽しみにさせていただいています。

 さて、仕事と報酬については今の世の中で生きている限り、永遠に続く問題だと思います。
 私の信条としていいモノや優れたサービス等にはそれなりの価値や対価が相応だと思っています。それは医師の診療行為にも当てはまると思います。ただ、現状ではどの医師に診察されても同じ医療費というのが現実だと思います。

 そこで、専門家であるbalaineさんにお聞きしてみたいのは、病院の株式会社化についてどうお考えなのかについてです。
 勿論、資本の論理を医療行為に持ち込むことで弊害も考えられますが、優秀な医師には相応の報酬というメリットもあると思います。
 患者側、医師側の不満足事項を解決する一つの方法として病院の株式会社化についてどのようにお考えですか。

投稿: ほたる | 2005.01.27 01:45

ほたるさん、コメントと質問ありがとうございます。
「病院の株式会社化」はここで簡単に答えられる問題ではございませんが、一言だけ。
病院でも「成果主義」の導入はある意味で必要です。ただその前に現行の保険診療を大きく見直さなければなりません。例えば「破裂脳動脈瘤」という診断名で、「脳動脈瘤頚部クリッピング術」という手術を行えば、(ありえないけど)1年目の医師が執刀しても20年以上のベテランがしても、大学なら「助手」がしても「教授」がしても「同じ値段」です。とても難しい大きさや形、部位の瘤でも、比較的簡単な瘤でも同じ病名なら同じ値段です。もっといえば、15年前の古い顕微鏡や器械を使っても、最新の機器をフル装備して最先端の治療を行っても「手術名」が同じなら同じ値段です。
さらに、体の小さな小児への投薬量は少ないですから安く済みますし、細かい処置が多い耳鼻科などは一つ一つの手技料が安く押さえられていた、数をこなさなければなかなか「稼ぎ」になりません。
こういった矛盾だらけの制度のままで器を変えても矛盾が矛盾を呼んで破綻する事になりかねません。

医療システム、保険診療システムといった大きな枠組みで変える必要があるので「国民のコンセンサス」と言う者が必要になってくるでしょう。よって株式会社かは容易ではないでしょう。小規模私立病院で単科であれば導入可能かもしれませんが。

投稿: balaine | 2005.01.27 08:58

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