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2005.01.20

てんてこまい?!

久しぶり(?)にてんてこ舞いした。
今日は朝まずICUを診て、先日のくも膜下出血の患者さんが経過良好なのを確認(発症後9日目、術後8日目で血管レン縮のピークを過ぎつつある時期)。食事も2/3ぐらいとっている。ドレナージも昨日抜去。
その後、外来。CTやMRIを予約していた患者も多くお昼前に終わりたかったが1時近くになった。
そこへ、急患との連絡。男性の脳出血でJCS300との連絡。下の先生に外来を中止させすぐ急患室へ向かわせ、私は残った外来患者さんを手際よくでも手は抜かず診察。
急患は、くも膜下出血と脳出血で両側瞳孔散大、血圧も低下しておりもはや救命できそうにない。ICUへ入れ挿管して人工呼吸器につなぎ昇圧剤を投与開始する。5分間で食堂のカレーを流し込み、手術室へ。
本日の予定手術は1時入室であったが20分遅れて手術場に入った。
既に麻酔はかかっていたので、左下側臥位を取り、右耳介後方外側後頭下開頭の位置を決めた。
今日は三叉神経痛の手術。聴力を保つため、聴覚モニタリング(カチカチと言う音を聞かせながら脳波をとる方法)を行いながらの手術。計画通り順調に3時間で手術終了。
6時、HCUに戻る。
同僚の下の先生は、明日から日本救急医学会が名古屋であるので最終便の飛行機で飛んでいった。もう一人の脳外科医は副院長で、市の医師会の会合に出席。よって僕一人になった。
ICUに入院させておいた患者は、昇圧剤を使っても血圧30〜40とあがらず後は時間の問題と思われる。HCUに戻った手術患者さんの診察、点滴などの指示を出そうと思っていたら、救急外来から70歳代男性の「くも膜下出血」が来た、とコールあり。最低限の術後指示を出し救急外来へ向かう。
患者は不穏で起き上がろうとするが返事をしない。CTをみるとくも膜下出血はない。当直医が、撮影時に患者が少し動いたために生じたCT上の白い陰を出血と読んだもの。
「これはアーティファクトで出血はないように思います」と言うと「すみません。出血だと思って、、、」と謝るので「出血してるのに『ない!』と誤診するより、出血がないのに『出血あり!』と間違う方がまだいいですよ」と慰める。
しかし患者は不穏。よく聞くと口から泡を吹いて倒れたらしい。共同偏視もある。「けいれん発作」と考えられる。次第に返事するようになってきた。すぐに一般病棟へ入院させる。
そうしていたら別の当直医が、「A病院からの紹介で慢性硬膜下出血の患者が来ています」と。
(が〜〜ん!もう一人急患かよ〜。。。)
診察すると軽い右片麻痺と言語意識障害も軽くある。名前は答えるが年を答えられない。
CTでは厚いところで2〜3cmぐらいある立派な血腫。今からすぐオペとしてもいいが、3人の脳外科医のうち2人が出張中。しかもICUの患者はもしかするとあと数時間の命。更に手術後患者さんも診なくてはいけないし今入院させたばかりのけいれん発作の人もいる。まだ手術は待てそうなので、明日オペすることにしてまずHCUに入院させた。術後の指示を出しICUの患者の状態をチェック。血圧は30ぐらいと更に下がっている。そして6階に行き入院させたばかりのけいれん発作の患者の点滴指示や一般指示を看護師にあたえ、診察。先ほどより意識はしっかりして質問にほぼ正答。奥さんもホッとした様子。ただ60歳代で初めてけいれん発作を起こしたという事は、何らかの病気が脳にありそう。明日以降、MRIなど精密検査が必要と説明す。
その足でまたHCUに戻り、待たせていた手術患者の家族に説明。手術はうまく行った事、明日以降の予定などについて説明し患者さんを一緒に診る。麻酔は醒めて会話も出来、痛みも起きず喜んでいる。
手術が終わってからここまで2時間ちょっとですべて一人で行ったことである。
まさに「てんてこ舞い」であった。

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