新生児
最近の「日記事件」で言(動)に益々注意する必要が出てきており、患者さんの事をここで書く事はなるべく避け、少しインパクトは下がるけれど一般的な話しを中心にせざるを得ないかな〜?と思う。
生後7日目、出産が36週だったからまだ満期産の赤ちゃんより小さい、体重2960grの新生児の手術を行った。胎生期から「水頭症」といって、脳の中で脳脊髄液を作り貯めておく部屋である「脳室」というのが拡大して、脳を圧迫して広がろうとするため、まだ固まっていない赤ちゃんの頭蓋骨が広がって頭が大きくなる。美的な問題ももちろん大事であるが、圧迫された脳の機能が低下してはいけない。大泉門といって赤ちゃんの頭のてっぺんのやや前の方で骨がまだない菱形の部分があるが、そこが張っていて脳室がどんどん大きくなり脳の圧迫が酷くなる傾向であったので、生後1週間ではあるが全身麻酔の上、水頭症手術を行った。
いまや「新生児用」の脳室腹腔短絡術(通称;シャント)用チューブも開発されているので手術は新生児だからといって特に大人と変わらない。ただ麻酔、体位固定、体温キープ、輸液などに注意が必要な事と腹側チューブを挿入する長さを長めにする事くらい(だんだん成長するに従い、皮下に留置しお腹の中に入れたチューブの長さが足らなくなってお腹から抜けて胸の皮下になってしまうことがある)。
お腹をあける(といっても2cm位の傷である)のに際し、普段は我々脳外科医だけでやるのだが万が一の事も考えて腹部外科の先生にも入っていただき手伝ってもらった。手術はスムーズに50分くらいで終了し麻酔の醒めもよく患児はいたって元気そうである。
このシャントが働いてくれると徐々に脳の圧が下がり脳脊髄液がお腹側に流れてそこから吸収され、脳室の拡大の改善=脳の圧迫の改善=頭囲の縮小がおこり、美的な頭の大きさと体の大きさのプロポーションの問題から知的機能、学習などの改善も図られると期待している。
頑張れ!
(p.s. 僕はパクチーも好きだけど北京ダックが食べたい)
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
私の娘も生後すぐ、脳室内出血により水頭症と診断されました。主治医の先生や看護士さん達は丁寧に説明もしてくださるのですが、何が何やらで頭に説明が入らず、ただただ「はい。はい。」「お願いします」の言葉しか出てきませんでした。娘は1000gだったためお腹へ通すシャント手術ができず、まず背中からぬきました。しかしそれでは追いつかず、頭の後ろへ流す手術をしました。そして2000gを超えたらお腹へ通しましょうとのことでした。しかし幸い、最初の手術で落ち着いており、現在10ヶ月ですが、まだ2回目の手術は行っていません。小さく産まれてきたなりの発達の遅れはありますが、水頭症による遅れなどはまだ診られません。主治医の先生に聞いたところ、うまくいっているのが、娘がはじめてで例がないとおっしゃるのです。水頭症の方のたいていはシャント手術をしてらっしゃるので周りの方で娘と同じ様な経験をされた方がおられなくこれから先、どうなっていくのか心配です。また突然、髄液が溜まることもありますものね。
投稿: きらら きらら | 2006.05.17 14:32